ホーム > インタビュー&レポート > ニューロティカのフロントマン、イノウエアツシ 自身を描くドキュメンタリー映画「あっちゃん」を語る 「僕か、スーパーマンか、タイガーマスクぐらいですかね」

ニューロティカのフロントマン、イノウエアツシ
自身を描くドキュメンタリー映画「あっちゃん」を語る
「僕か、スーパーマンか、タイガーマスクぐらいですかね」

結成から30年を超えたパンクバンド、ニューロティカ。バンドブームからメロコアブームまで、次々と移り変わるシーンを生き抜いてきた数少ないバンドだ。ドキュメンタリー映画「あっちゃん」は、そのボーカリストであり、唯一のオリジナルメンバーである、あっちゃんことイノウエアツシにフォーカスを当てた作品。バンド活動とお菓子屋経営という、一見相反する二足のわらじを履くあっちゃん。その実像に始まり、メンバー同士の確執や契約問題など、活動のすべてを紐解く内容になっている。脚本家の宮藤官九郎や氣志團の綾小路翔、筋肉少女帯の大槻ケンヂらなど、多彩なコメントゲスト陣も話題の本作について、イノウエアツシにインタビューした。

――まずは制作の経緯からお願いします。

「毎年、結成何周年企画というのをやっているんですけど、29周年が終わって『来年は何をやる?』という話をしているなかで、ドラムのNABOちゃんから『30周年であっちゃん50歳だし、バンドをやりながらお菓子屋をやって、こんなに面白い、おいしい男はいないんじゃないか』という発言があって。彼の発信でした」

 

――すぐにOKしましたか?

「最初は恥ずかしいんでと(笑)。映されるのが苦手なのではなく、持ち上げられるのが苦手なので。『いいよいいよ』って言っていたんですけど、ここを逃すともうないという思いもあったし、それによってニューロティカも話題になるだろうしと。メンバーと話し合ってやりましょうということになりました」

 

――これまでのキャリアで、ドキュメンタリーの話があがったことはあったのですか?

「ないですね。5年ぐらい前に『ザ・ヒストリー・オブ・ニューロティカ』という映像を作ったんですけど、それはバンドのほうに焦点を当てていて。今回はバンドヒストリーというよりは、俺のヒストリーという感じでしたからね」

 

――そういう意味ではロックバンドの私生活という、ある種のタブーを撮った作品でもありますよね。抵抗はありませんでしたか?

「なんにもないですね。ライブでもお菓子屋やってるんだと言ってますし」

 

――監督と事前に作品について話は?

「してないですね。監督が持ってきた話に僕が答えるだけで、何もなかったですね。密着はしてもらいましたけどね、一緒に仕入れにいったりとか。ドラマのNABOちゃんがプロデュースなので、そこはいろいろ話してましたね。撮影の半ばぐらいの時ですが、やっぱりライブの映像が多くなっていて。『そうじゃなくて、あっちゃんの近所のおばちゃんの話でもいいし、お菓子屋のほうに焦点を当ててくれ』と。喧々諤々してました(笑)。ライブのドキュメンタリーはよくあるじゃないですか。だから、もっと違うところに当ててくれと。ふたりでずっとやってましたね。僕は編集には一切タッチしてなくて。これNGだよとか、これ使ってくれよとか言いだしたら、ドキュメンタリー映画『あっちゃん』にならないと思ったので。実は一切口出ししてません。でもJASRACに楯突いたのはよくなかったかなぁ……(笑)」

 

――あのシーンは確かにインパクトありますね(笑)。作品はもう何度かご覧になったんですか?

「試写会で一回見たんですけど、自分のなかで緊張とか焦りとかいろいろあって、実は細かくわかってないんですよ。それ以外はまだ見れなくて。だから取材を受けてもこういう答えしかできなくて(笑)。ただ自分で見て思ったのは、Tシャツはズボンのなかに入れないほうがいいですね(笑)。僕は几帳面かと思っていたんですけど、非常にダサいですね。試写会からは出すようにしてます(笑)」

 

――それも含めて、かなり私生活をさらけ出した映画ですよね。

「もちろんカッコイイロックバンドには出してほしいくないし、そういうのを出さないのもありだと思いますよ。でも絶対に聞かないんですけど、あの人どうやって生活しているのかとか、聞きたい先輩もいるんですよ。ゴシップ好きなところもありますし、参考にしたい部分もありますし。だから俺だったらなんでもできちゃうから、全部見せちゃうっていう。開き直りでもなんでもなく、なんでも撮ってくださいと言いました。ただ撮りに来る時は先に言ってくださいと。少し家を綺麗にしておきました(笑)」

 

――映画を見ると実感しますが、すごい二重生活ですよね。

「でも良いライブをしてお客さんが喜んでくれるのと、買ったお菓子が美味しいって言ってくれるのと、同じぐらいなんですよね。本当はニューロティカに比重を置かなくてはいけないと思うんですけど、同じぐらいの嬉しさがありますね。ニューロティカは数は少ないですけど待ってくれる人がいて、お店も閉まっていると心配してくれる人がいて。だから今の状況は僕の宿命じゃないですかね。僕か、スーパーマンか、タイガーマスクぐらいですかね。外でも着替えたこともありますしね(笑)」

 

――プライベートと同時に、メンバー脱退や解散の危機など、バンドのシビアな部分も多く語られています。

「僕は正直に話しただけなので、それは監督が聞き出したということですよね。監督自身もその時代は知らなかったわけですから、単純に知りたかったんじゃないですかね。僕も他のバンドだったら知りたいですからね。それにしてもこの映画って、歌が下手だねって何度も出てきますよね(笑)。主演男優に対してそんなこと連呼するって、そんな映画ありますかね。それをカウントするのも、この映画の醍醐味ですね(笑)」

 

――そんなこんなでバンドは31年目に突入していますね。長く続けたいという思いは、ずっと持っているんですか?

「実はそれはないですね。太く短く、みたいな感じでしたから。それでいいという思いは今でもありますね。お客さんが来なくなったら終わりですし、僕が動けなくなったら終わりですからね。だから辞める時期がわからない、みたいな感じですかね」




(4月30日更新)


Check
(C)あっちゃん製作委員会

Movie data

「あっちゃん」

5月2日(土)公開
名古屋シネマテークほかにて

【オフィシャルサイト】
http://www.acchan-movie.com/

[2015年/日本/日本出版販売]
編集監督・撮影:ナリオ
出演:イノウエアツシ/修豚/JACKie/SHON/アキオ/カタル/ナボ/シズヲ/RYO/James/蒼井そら/綾小路翔/石坂マサヨ/大槻ケンヂ/北島健司/宮藤官九郎/GEN/サトパー/SHOGO/ターシ/ハチミツ二郎/Bamboo/HIKAGE/PON/増子直純/まちゃまちゃ/宮田和弥/矢沢洋子/RYOJI/井上綾子

Story

2014年、パンクバンド“ニューロティカ”はファンの厚い支持に支えられて結成30周年を無事に迎える。そのバンドのフロントマンとして活躍してきたイノウエアツシには、ミュージシャンの他にもうひとつ顔があった。それはお菓子屋の若旦那という顔だった。

LIVE

映画「あっちゃん」完成記念&
結成31周年ワンマン!

▼5月30日(土) 19:00
池下CLUB UPSET
スタンディング-3000円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※小学生以下は、保護者同伴で無料。
ズームエンタープライズ[TEL]052(290)0909

▼6月7日(日) 18:00
メスカリンドライブ
スタンディング-3000円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
※小学生以下は、保護者同伴で無料。
ズームエンタープライズ[TEL]052(290)0909

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