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“自分の殻を破る瞬間”を
ダンスを通して描く青春ガールズムービー
映画「ガールズ・ステップ」
川村泰祐監督・石井杏奈インタビュー

2014年から中学校で必修科目となったダンス。現在公開中の映画「ガールズ・ステップ」は、そんなダンスにスポットを当てた物語だ。
根暗にヤンキー、ガリ勉に勘違い女と、クラスに友達がいない“ボッチ”な女子4人とダンス部を結成することになった女子高生・あずさ。最初はダンスもメンバーの仲もちぐはぐだったものの、練習を重ねるうちに“ジミーズ”(地味な女子たち)として友情が生まれ始め…
嫌われるのが怖くて自分を出せなかったり、大切な友達だからこそ本音をさらけ出せなかったり。思春期ならではのリアルな悩みが、ダンス選手権の出場を目指す5人の汗や涙と共に展開する。
彼女たちの“ガールズ・ステップ”=「自分の殻を破る瞬間」がキラキラまぶしく描かれる、とびっきりの青春ガールズムービーだ。

そんな本作を手がけた川村泰祐監督と、人気ガールズグループ・E-girlsのメンバーとしても活躍し、今回あずさ役を務めた石井杏奈に話を聞いた。
「学校のようだった」と語る撮影現場の雰囲気が感じられる、二人のインタビューをどうぞ。

――本作を監督されることになったきっかけについて教えてください。
川村監督「ダンスをテーマにした映画を作ってほしいというお話をいただいたのが始まりです。最初に『なぜ今ダンスが中学校で必修科目になっているのか?』ということを調べてみたら、ダンスを通じて仲間とのコミュニケーションを深めたり、自分自身を表現できるようになるためということが分かりました。そこで、仲間や友情という青春映画のテーマをダンスに落とし込んだら面白くなるのでは?と考えたんです。最近、若い人たちの間で“(独り)ボッチ”“リア充”という言葉がありますよね。こういう言葉の持つイメージをリアルな物語やキャラクターに落とし込めたら、あずさたちと同じ女子高生にも共感してもらえるかなと。そして大人には、今子どもたちはどういうことで悩んでいるかを伝えられたらと、そんな気持ちで始まりました」
 
――石井さんはE-girlsのパフォーマーということもあり、ダンスは身近なものと思いますが、今回“ジミーズ”で踊られた感想は?
石井「初めて5人が顔を合わせた時は、一向にお互いの距離が縮まらなくて、このメンバーで仲良くなれるのかな?という不安がとてもありました。でもそこからダンスレッスンを通して仲がどんどん深まっていきました。ダンスがあったからこそチームワークが生まれたんだと思います」
 
――映画と同じく、ダンスによって生まれた絆ですね。
川村監督「杏奈ちゃん以外の4人は、全くのダンス素人でした。ダンス選手権で3分間踊り続ける場面がありますが、練習が始まった当初、インストラクターの先生に『撮影までにそのレベルに達するのは厳しい』と言われて。ダンスシーンを短くする話もありましたが、僕はどうしても3分やりたかった。結局、とにかくギリギリまで頑張ると先生が言ってくださって、猛特訓が始まりました。そこから皆仲良くなっていったので、しんどいことがあると心がひとつになるんだとよく分かりました(笑)」
 
――撮影で印象に残っていることはありますか?
川村監督「今回は泊りがけの撮影が多かったので、女子たちはお泊り会のようで楽しかっただろうなと思います(笑)」
石井「とあるホテルに泊まった時、根暗女子・愛海役の(小芝)風花ちゃんの部屋に熊の置物があって、それがすごく怖かったらしいんです。私の部屋に来て『怖いから一緒に寝てもいい?』って(笑)。それがすごくかわいくて!結局、二人でも怖いからって他の子たちも呼んで、5人全員で寝ました。シングルの部屋なのに(笑)。それも楽しかったです!皆と一緒にいてすごく楽でした」
川村監督「似たもの同士だったのが良かったのかな。“ジミーズ”には地味な空気がある子を集めたんです」
 
――そんな“ジミーズ”の5人はとてもリアルかつ個性的ですが、それぞれのキャラクターを描く上で大切にされたことは?
川村監督「一番は、なるべくリアルに演じてほしいということ。漫画のようなベタで飛び抜けたキャラにしないで、本当に周りに居そうな子たちとして役作りしてほしいと伝えました。そうすれば、一つひとつの台詞や動きを濃く出さなくても、ちゃんとキャラは立ってくるからと。でも本人たちはすごく悩んだと思います」
 
――皆さんかなり苦労されていたのですか?
川村監督「例えば、ヤンキー・美香役の上原実矩さんは、実際は一番女の子らしい女の子なんです。役が決まった時、僕のところに来て『ヤンキーってどんな人でしょうか?』と、そこからスタートして(笑)。(小芝)風花ちゃんは、根暗な役なので一番地味でいてほしいと言っていたんですが、実際の彼女は話し出すと止まらないような子なんです。本来のキャラとは違うものを出してもらいました。でも一番難しかったのは、小野花梨ちゃんが演じた勘違い女・葉月役ではないかと思います。空気が読めない人をどう演じるかとても悩んでいましたし、僕自身も悩みながら演技をつけていました。でも最後には皆それぞれの役を理解した上で演じてくれたので、本当にこの子たちを選んでよかったです」
 
――石井さんは、今回演じられたあずさという役についてどう思われますか?ご自身と似ているところはありますか?
石井「あずさは、純粋で素直な子だからこそ自分を傷つけてしまって、自分が辛くなるようなことまで全部引き受けてしまうんです。なので、あずさを理解してくれる“ジミーズ”と出会えて心からよかったと思いましたし、台本を読んでいてもすごく応援したくなりました!」
川村監督「あずさみたいな子っているよね。いじめられたり仲間外れにされるのが怖くて、好きなものを好きって言えなかったり。それって当事者にとってはとても重大なことだと思うんです。そういうことをちゃんと描きたい気持ちがありました。杏奈ちゃん自身、すごく空気を読む子なんです。なのであずさに似ていますね」
石井「確かに、“ジミーズ”の中ではあずさが一番近いと思います」
 
――監督とは性別も年代も違う女子高生の心情をリアルに描く上で、どのような方法を取られましたか?
川村監督「まず女子高生のことを取材しました。今回はスタッフに女性が多かったので、取材した上で分からないことはどんどん聞いていって。今までに女子向けの作品をたくさん手掛けてきたのもあると思いますが、女の子を撮るのが楽しいんです。変な意味じゃないですよ(笑)。男の子の理想とする女子像を作ろうとは全く思っていないので、一生懸命それを考えて撮影していきました」
 
――そんな監督の現場の雰囲気はいかがでしたか?
石井「一番初めに『楽しんでやってください』と言っていただいたこともあり、撮影期間は楽しい思い出しかなかったです。悩んだりしたことも含めて、全てが楽しかったです。青春だなって思いました(笑)」
川村監督「学校みたいだったでしょう。僕が口うるさい先生で(笑)」
石井「確かに先生みたいでした!口うるさくはなかったですが(笑)。撮影の時も、シーンごとに熱心に指導してくださって、とてもやりやすかったです」
川村監督「他の監督はどう?『ソロモンの偽証』(石井出演作)の成島出監督はもっと穏やかだよね。実は、スタジオでこの作品の仕上げ作業にかかっていた時、偶然にも隣の部屋で『ソロモンの偽証』の作業をしていたんです。それで成島監督と話していたら、『杏奈ちゃんどう?』と聞かれて。『最高です!』と返したら『そうだろ?』って(笑)。それくらい素晴らしかったです」



(9月15日更新)


Check

(C)宇山佳佑/集英社 (C)2015「ガールズ・ステップ」製作委員会

Movie data

映画「ガールズ・ステップ」

公開中
109シネマズ名古屋ほかにて

【オフィシャルサイト】
http://www.girls-step.com/

[2015/日本/東映]
監督:川村泰祐
原作:宇山佳佑
出演:石井杏奈/小芝風花/小野花梨/秋月三佳/上原実矩/磯村勇斗/松浦雅/玉木瑛美/遊馬萌弥/大坂美優/安保彩世/大東駿介/音月桂/柳ゆり菜/山本裕典/塚本高史

Story

過去にいじめを受けたことから他人の顔色をうかがって怯えて過ごす高校生、あずさ。体育の授業でダンスの単位を落としかけた彼女は、同様にテストを受けそびれた“ジミーズ”と呼ばれる目立たない女子生徒たちとともに、単位修得のためのダンス発表に挑む。