ホーム > インタビュー&レポート > 映画「森山中教習所」 豊島圭介監督・野村周平インタビュー 「野村くんをこのまま撮れたら、面白い清高になりそうだなって」

映画「森山中教習所」
豊島圭介監督・野村周平インタビュー
「野村くんをこのまま撮れたら、面白い清高になりそうだなって」

2009年から週刊スピリッツにて連載された人気漫画「森山中教習所」が、「ヒーローマニア-生活-」「ソフトボーイ」の豊島圭介監督により映画化される。W主演を務めるのは、野村周平と賀来賢人のフレッシュな二人。超がつくほどノーテンキな普通の大学生・清高と根暗なヤクザ・轟木の、正反対な二人がとある教習所を舞台に繰り広げる、ひと夏の友情を描き出す。見た後で切なくも爽やかな気持ちになれる作品だ。
今回、豊島監督と野村周平さんに話を聞くことができた。野村が「自分もみんなも楽しくできるように意識した」と語る現場の雰囲気が伝わる、温かく笑いの絶えないインタビューとなった。その模様をどうぞ。

――豊島監督にとっては、今年5月に公開された「ヒーローマニア-生活-」に続く漫画原作の作品ですが、映画化にあたって大切にされた部分は?
豊島監督「漫画を映画にする時は、原作を台本に起こす作業が一番大事で。映画化を手がける漫画にはそれぞれ大好きなポイントがありますが、今回は男二人の友情や、人間関係を大切にしようと心がけて、そのエッセンスを失わないように台本に置き換えていきました。あとは轟木の銀髪や、舞台となる教習所の建物など、漫画のビジュアルも映画の肝として重視していきました」

――原作に沿った作品作りを心がけられたんですね。
豊島監督「そうですね。でも映画を撮る時には、漫画を再現することは忘れようとします。漫画のように演じてくださいと言っても絶対うまくいかないので。そこから先は俳優のものというか、現場ではどれだけ生き生きした芝居が撮れるかということに集中しています」

――主人公・清高は、底抜けに明るいようでいて実はいろいろ考えている、つかみどころのないキャラクターですよね。そんな清高役に野村さんをキャスティングされたきっかけは?
豊島監督「清高役は、元気でユーモアがある人じゃないとできないだろうなという気がしていました。そんな時に野村君に出会って。顔合わせの時、いきなり部屋にバンと入ってきて『この役やりたいっす!僕のままで清高役できますよ』と(笑)。それを見て、面白い人だなって思いました。人との距離感も近くて、その日のうちに一緒にメシ食いに行ったら、『俺頑張るよ!』って肩組まれましたしね(笑)」
野村「そんなこともありましたね(笑)」
豊島監督「その時に、この人なら大丈夫かもしれないなって思いました(笑)。彼をこのまま撮れたら、面白い清高になりそうだなって」

――野村さんは、清高という役をを演じられてみていかがでしたか?
野村「撮影に入る前は不安なところもありましたが、現場に入って監督やスタッフの皆に会って、わいわい楽しくできる現場だと知ったところから変わっていきました。清高は楽しく演じなきゃいけないなと思ったので、現場のムードを大切にしながら、自分もみんなも楽しくできるように意識しました。あまり作りこまず、現場で感じたものを出していきましたね」

――先ほど、野村さんと清高は似ているという話も出ましたが、実際に演じる時も野村さんご自身の明るさを出していかれたんですか?
野村「すごく出しましたね。だからと言って無理やり気分を上げたわけではなく、現場が楽しかったので自然と楽しい気持ちになれたのがよかったです」
豊島監督「今回は撮影時間がタイトだったので、結構現場が過酷だったんです。なので、野村君がそうしてくれて助けられました」
野村「たまに監督がテンション下がってる時があって。そういう時は『今テンション下がってる!ピリピリしてるよ!』って、僕から上げていきましたね(笑)」

――野村さんに助けられた部分も大きかったんですね。
豊島監督「映画の始まりが、漫画同様に岸井ゆきのさん演じる松田を振るシーンから始まるんですが、そこをどう演出するかなかなか掴めなくて。原作だと、この時の清高は、冷たくて自分勝手なようにも、相手のことを思いやっているようにも見えるんです。この映画は松田と清高の関係性が背骨にあるので、重要なシーンだけにずっと悩んでいたんですが、そこで野村君がとても面白い塩梅でやってくれて。清高はずるいと言われて『うん』と返す一幕があるんですが、そこで発せられた『うん』の言い方が絶妙でした(笑)。こうやってやればいいんだ!と、野村君に教えてもらいましたね。面白い俳優さんだと感じました」
野村「今回はとにかく、作品を作っている過程がすごく好きだったんですよね。皆でバカなことや話をたくさんしつつ、楽しく皆で作り上げていった感じがあったので。制作や撮影の楽しさを再確認できたし、初めてしっかり“主演”ができたなという気持ちがありますね」

――なるほど。本作は野村さんと賀来賢人さんのW主演ですが、賀来さん演じる轟木も独特なキャラクターですよね。
豊島監督「本作の筒井竜平プロデューサーと僕は以前『ソフトボーイ』という映画を作ったのですが、その作品に賀来君も出演してくれて。その時ははっちゃけた役柄でしたが、どこか陰りがある人だというのをなんとなく知っていたんです。でも、皆そういう役を賀来君に振っていない感じがして。そこで、轟木という複雑さを抱えた役をぜひやってもらおうという話になりました」

――野村さんは、賀来さんとは今回が初共演とのことですが、どのような印象を持たれましたか?
野村「かっくん(賀来)は、今回根暗なヤクザという役だったので、役作りのために現場でもクールな感じでいたんです。最初はそれがちょっと怖かったですね。現場で僕らがふざけてるのを見て、怒ってるのかな?って。でも、一緒にやってみたらすごく良い人で。客観視しているというか、今現場で何が必要かというのを分かっているし、締めてくれる役割の人なんだなと思いましたね」

――ある意味、轟木に近い部分があるんですね。
野村「そうですね、そんな感じがしました。彼はクールですよね?」
豊島監督「でも、賀来くんと一緒にドラマをやっていたスタッフと話をしていたら、『賀来くんはおちゃらけてるから話しやすい』と言っていて、そうなんだ!って。役作りのためにああしていたんでしょうね」

――そんな二人が紡ぎ出す、ドライなように見えてかけがえのない友情の描き方が絶妙です。
豊島監督「台本を作る時から考えていたのは、『彼がいたから今の自分がある』ということ。お互いが一番落ち込んでいたり、危機に遭った時に、相手がそばにいてくれたという話にしたかったんです。普段から仲が良くて距離が近いということよりも、大変な瞬間に寄り添ってくれたから大切な友達なんだと感じられる物語ですね」


moriyama_2.jpg

取材・文:下林香澄(ぴあ)




(7月 7日更新)


Check

Movie data

(C)2016 真造圭伍・小学館/
「森山中教習所」製作委員会

映画「森山中教習所」

7月9日(土)より公開
センチュリーシネマほかにて

【オフィシャルサイト】
http://moriyama-movie.com/

[2016/日本/ファントム・フィルム]
監督:豊島圭介
原作:真造圭伍
出演:野村周平/賀来賢人/岸井ゆきの/寺十吾/佐藤真弓/裴ジョンミョン/黒田大輔/音尾琢真/ダンカン/根岸季衣/麻生久美子/光石研

Story

ノーテンキな大学生の清高は、夏休みに免許を取ろうと思い立つ。一方クールなヤクザの轟木も、組長に命じられて免許を取ることに。2人はひょんなことからくせ者ばかりが集まる非公認教習所に放り込まれ、かけがえのない夏を過ごすことになる。