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「夫は誰だった?」
夫の全てが嘘だった、そんな実話を元に映画化
長澤まさみ、高橋一生の主演2人にインタビュー

自分の夫だった人物が、名前も経歴も全て嘘だったら? 「夫は誰だった?」という見出しの新聞記事で書かれていたのは、そんな実際に起こった出来事を描いた記事だった。
新たな才能の開発を目指し開催された「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」の初代グランプリを勝ち取った企画が、ついに映画化される。企画者であり監督は、これまで有名企業のCMを多く手がけてきた中江和仁。長年、長編映画を撮ることを熱望しており、応募総数474本の中から、その資格を勝ち取ったのだ。
主演は、長澤まさみと高橋一生。キャリアウーマンで、ある日、恋人の全てが嘘だったということを知り、混乱のなかから真実を探す川原由加利役を長澤まさみを。嘘で固められた人生を送るミステリアスな男、小出桔平役を高橋一生が演じる。
嘘を下地に積み上げられた2人の関係は、全てが嘘になってしまうのか? 真実を求める由加利の行く末に見つけた男の姿、そして自らの思いとは? そんな謎にあふれた作品について、主演の2人に話を聞いた。

――今回の共演を経てどのように感じましたか?
長澤「こういった、大人な恋愛観を演じるのが、難しかったのもありますが、以前から共演させて頂いているという気恥ずかしさも混ざった気持ちでした。十代のときには自分の手が届かないような先輩のように感じていたので、同じ舞台の上でお芝居ができるのは、やりがいを感じていました。なので、頑張りました」
高橋「舞台(「ライクドロシー」)で共演させてもらったときは、お互い役柄から程遠かったんです。舞台では、バカなことをこう本気でやっていたので、急に真面目になりました」
長澤「ラブストーリーは、年齢によって距離感が変わってくるので…等身大な女性ですけど、十代の頃の距離感とは違って許し合っている年代の役なので、余計に恥ずかしかったですね」
高橋「僕も何度かご一緒させていただいていて、こういうことって起こり得るんだなっと思いました」
 
――こういうこととは?
高橋「共演の度に役の関係性が変わっていくということもあるんだなと思いました。これからの勉強になりましたし、どういう風に(長澤さんに)向き合っていけばいいか、単純に役のイメージで都度都度違うので、そこでどうやって対応していけばいいかは、まさみさんが行っているとおり、気恥ずかしさがありつつ、そこを乗り越えつつ、といった感じでした」
 
――気恥ずかしさを超えるためになにかしたことはありました?
高橋「やり通すしかないですね。何度か重ねていって新しい関係性に更新していくことが大事で、それはなにか別のことをするのではなく、重ねていくうちに変わっていくことだと思うので、時間がかかってしまうってこともあると思うんですが、演じていくうちにお互いの府に落ちるところを探って行っているように感じていました」
 
――共演シーンについて、演じる上で気を付けていたのは?
長澤「ラブストーリーなので、きっちゃんへ対しての想いっていうのをどれほどのものなのかっていうのが一番大事だったりしたので、その人の過去を探りたいって思うまで、彼に執着していたものはなんなんだろう、ということが大切にしていました。もちろん(由加利も)いろんな人に出会うことで変わっていくし、行く場所で自分も洗練されていくんだすが、根本は強い女だからか、監督から『すごい嫌な役にしてくれ』ってはじめは言われていました。そんな風に″嫌な女“だと思っていたので、『なんできっちゃんは、この人(由加利)のことが好きなんだろう、本当にきっちゃんはこの人のことが好きなのかな』って謎すぎて、そういう疑問については監督の想いに助けてもらいました。吉田さんは一味もふた味も今までご一緒した俳優さんと違っておもしろかったですね。他にもバラエティにとんだ方々とご一緒させていただいて、お芝居させていただいているので、いろんなトーンが違う方々があつまって、こういう風に映画を作るのもいいなって思いました」
高橋「由加利さんを狙っていって、そのことを後悔をし続けていたというわけではなくて、桔平にとっては、由加利さんは辿りついていた場所なんでしょうね。演技の上では、そこ(由加利の元)に至るまでの抑え込んでいた思いや言葉の説明がなくても、2人がいるときに過去や桔平の抱えているバックグラウンドをどれだけ出せるか、というのを気遣っていたと思います。しゃべらないところとかが、すごく大事になってくるんだなと。彼の時系列に沿って演じていきたいなとは、思っていました。過去のことや由加利と出会うまで、その過程のプロセスを桔平は背負っていないといけないので、由加利好きだったんだろうかっていうところをうまく出しているようで出してない、というところを目指そうという感覚ではありましたね」
 
――今回、長澤さんが演じた由加利という役は、第一線を走るキャリアウーマンであり、女性としてのしたたかとも言える強さも持ち合わせている役どころです。長澤さんは同世代の役でもありますが、演じるうえで共感できたポイントなどはあるのでしょうか?
長澤「実はあまり感情移入できませんでした。というのも、私自身が仕事を始めたのが早かったので、由加利が悩んでるポイントは、私が少し前に悩んでたようなことだったので、今の自分にどんぴしゃな感情ではなかったのです。ただいわゆる30代という年齢になった女性がぶち当たる壁なんだろうなという理解はありました。あと好きな人へ対しての執着というか、何でも知りたいと思う欲に関しては自分も持ち合わせているとは思いますし、女性ならみんな持ってる感情かなとは思いました」
 
――高橋さんは、ミステリアスな役どころで、前半で意識不明に陥ってという、演じるには難しかったと思います。役作りはどのようにしていったんでしょうか?
高橋「どの作品でもそうなんですけど、プランニングを自分でやってしまうと、自分の中だけで凝り固まりすぎてしまって、スタッフや共演者の方と共有が図れなくなってしまうと思うんです。なのでとにかくコミュニケーションを取り、現場の雰囲気を感じるということに終始意識を向けていました」
 
――監督の長編1作目の作品にお二人に投げかけるものがあったと思うんですが、どのように受け取りましたか?またお芝居ややりとりについて教えてください。
長澤「中江監督はCMを含めると3作目なんですが、わりと物語に重点を置く方だったと知っていましたし、その人の背景や役柄を大切にしていたので、ある程度信頼感がありました。撮影に入る前にエチュードをしたんですが、芝居前後を演じて観たり、監督の中での整理でもあったんだろうな、と。とにかくリアルなものを(カメラに)捉えたいという思いは感じていました。とにかく監督のやる気がすごかったです(笑)。『やってやるぞ!』というか、熱量がすごくて…映画が撮りたくてここまでやってきてた方だし、原作がある作品の映画化が多い今の世の中で、今回ご自身が手掛けたオリジナル(脚本・企画)で映画を撮るということへの喜びが溢れていて・・・それは、すごく私へのプレッシャーとしてのしかかってきました(笑)」
 
――実際プレッシャーを感じるできごとはあったんですか?
長澤「クランクインする前にすごい怖い呪いの手紙みたいな、長文のお手紙をいただいて…思いがすごくて、あと手紙から出ているオーラが(笑)。一応、今もとってありますけど、もちろん(笑)」
高橋「そんなのあったんだ?」
長澤「紙の手紙と、作品自体は実在の出来事を題材にしているということで、元になった新聞記事の切り抜きとかも入っていて…怖くって(笑)。そういう監督の熱のこもった思いを届けるっていう意味では、映画としても、ちゃんと準備はできている感じはするので、監督の純粋な想いっていうものに触れて、演じるっていうことに対して、いろいろ気づかせてもらえた気がします」
高橋「監督とは、初めてだったんですが、撮影しているときは、俺はこれが映画っていうものだなと感じました。すごく長い時間を使って、ミリ単位で修正を重ねていて、かといってなにがどうっていうわけではなくて、(監督が僕らを)不安にさせないわけでなく、撮影中不安にはなるんですが(笑)。表現としての可能性を模索しているのかなと思っているうちに、そうではなかったようだと感じました(笑)。何度か重ねるうちに本当に気合いがすごい入っているっていうのがわかりました。信頼されている、されてないというのは分からなかったんですが、こうして表現してみればいいんだっていう動き、監督が醸し出す、静かな動きというのは感じてましたね。この人の作品だっていうのは、すごく強く現場を支配していた感じでした」
 
――高橋さんには手紙はなかったんですか?
高橋「僕は…手紙はなかったですが、初めて役の説明みたいなものを3、4ページくらいもらいました」
長澤「あ、それも入っていました」
高橋「中江監督は、静かに、ぐーっと(感情を)押し込めているような感じでした。この人が監督をするってことは、それ(押し込めているもの)が作品に出てくるのかなと思いました。静かにぐーっと押し込んだものになるのであろう、とその内作品へフォーカスが絞れていきました」
 
――監督から『すごい嫌な役にしてくれ』と言われたとも仰いましたが、演じたうえで、長澤さんはこの由加利をどのような女性だと思いますか?
長澤「“嫌な”という意味の裏には、“傲慢”や“自分本位”ということが含まれてると思うんです。それは仕事をやってくうえでも、生きていくうえでも悪いことではないと思ってます。ただそこに協調性がないと“嫌な”と言われることが多いと思うんです。由加利はそういう部分があるのかな、と。だからそういう由加利を何できっちゃんは好きだったんだろうというのは最後までわからなかったです(笑)。でも男の人と女の人の関係性って年を重ねれば重ねるほど曖昧だなとも思っていて。私の感覚にはないものが2人の間にはあったんだなと思っています」
 
――どんな人に観てもらいたいなどありますか?
長澤「仕事を頑張ってる、自分を頑張ってる女性に観てほしい作品です。女性らしさというのは何だろうということをすごく感じられる作品だと思っています。やはり男性の監督が作った作品なので、男性的な感覚の方が強いと思うんですよね。由加利は監督だなと思うこともあります。男性が思う感覚に気づかされる部分もあるし、気づいてあげてもいいかなと思えるような作品だと思っています」



(1月19日更新)


Check

(C)2018「嘘を愛する女」製作委員会

Movie data

映画「嘘を愛する女」

1月20日(土)公開
ミッドランドスクエアシネマほかにて

【オフィシャルサイト】
http://usoai.jp/

[2018年/日本/東宝]
監督・脚本:中江和仁
出演:長澤まさみ/高橋一生/DAIGO/川栄李奈/野波麻帆/初音映莉子/嶋田久作/奥貫薫/津嘉山正種/黒木瞳/吉田鋼太郎

Story

キャリアウーマンの由加利は、研究医で優しい恋人・桔平と同棲5年を迎え、幸せな日々を送っていた。ある日、突然訪ねてきた警察官から、桔平がくも膜下出血で倒れたことと、彼が所持していた運転免許証、医師免許証がすべて偽造されたものだと告げられ……。