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鈴木慶一も絶賛する若き才能cero。
都市生活を描き出した新作について語る (1/2)

音源をリリースする前から鈴木慶一が絶賛。細野晴臣トリビュート作品に参加するなどし、耳の肥えたリスナー間では早い段階から話題となっていたcero。彼らが「WORLD RECORD」に続きリリースしたニューアルバム「My Lost City」は、音や言葉、アレンジで都市生活を描き出した、その才能が遺憾なく発揮された作品だ。リスナーやメディアから熱い支持を受けている。今回はメンバーの高城晶平と荒内佑に、その音楽感からルーツまでを聞いた。

「確固たるビビットな物語というより、捉え方がいくらでもあるもの」

――楽曲、音、アルバムのトータル性と、いろいろな面で前作から大きく進化を遂げていますね。
荒内佑「前回は宅録がメインで一年中ダラダラ作っていたんですけど、今回は締め切りがちゃんとあったので、そのおかげで出来たというか(笑)。前は普通の練習スタジオで録音しましたが、今回はカクバリズムに入ったこともあって、ちゃんとした録音スタジオを使って録りました」
高城晶平「前回は本当にダラダラやってましたんでね(笑)。今回は制作に入った段階で、アルバムのカタチがかなり見えている状態だったんですよ。6、7曲ぐらいはライブで披露していたこともあって、頭にいろんなものがある状態で入れたので、スタジオで考えるみたいな感じは少なかったですね。そこは良かったところです」

――出したい音やムードみたいなものは、制作前からある程度見えていたんですか?
荒内佑「ライブで6、7割出来ていたので、自然に固まっちゃったというか。前のアルバムは曲ごとにアレンジを変えていたんですけど、どうやってカタチにしようかと悩んで、なかなか出来なかったんですよ。今回はアレンジもライブでほぼ出来ていたので、バンドサウンドっていうのが軸にあって、そこからどうやって色付けしていこうか、というやり方だったんですよ」
高城晶平「『WORLD RECORD』という前のアルバムを出してツアーが終わった直後から、作るのと並行してライブで演っていた曲が多くて。『cloud nine』なんかは、わりと早い段階でもうありました。『cloud nine』はすごい大雨の歌なんで、次はその街で水かさが増していって『大洪水時代』にしよう。次はその海になっちゃった街で、船の上でパーティがおこっている曲を作ろう、とか。後は物語の時系列順にポンポン出来ていって。どんな感じになるかなと、オチを考えないまま、落とし所とかは特に考えずやっていって。歌は小説とか絵本とは違うものなので、特に確固たるビビットな物語というよりかは、捉え方がいくらでもあるようなもの。歌詞って、切り口はいくらでもあるような表現がしやすい媒体じゃないですか。いろんな視点から見れるようなぼんやりした物語みたいなものを、漠然とみんなで共有しながら作っていった感じですね。はっきりとした起承転結はあまり考えずにやっていきました。ただシーンが羅列されているというか」
荒内佑「通して聴くと、コンセプトアルバムって感じに聴こえるかもしれないですけど。案外ライブで無意識に作ってきた曲にも、物語があるんもんだなと」
高城晶平「ただ、今回はムードを意識的に共有していたんですよ。僕が作った歌に荒内くんの世界観が流入してきたり、その逆もあったり。前回は、詩も自分が作った曲は自分が書く、というスタイルだったんですけど、今回はイメージの共有があったことで、軽く話しあって一緒に書いたような曲もありますね。なんか以前よりも、ムードが共有できるようになってきましたね」


「天気の歌って
若い人からおじいさんまで共通の話題じゃないですか」


――ceroが持つムードや世界は、現実感があるようで幻想的な、不思議なバランスですよね。
高城晶平「自分ではパラレルワールド的なものを作っているつもりだったんですよ。そういう世界観を作っていくのは好きなので。それが図らずも、今生きてる世界の写みたいな感じになっていくのが、不思議でしたね。でも考えてみれば、この世界を目の当たりにして別の世界を映写していっているというか、無意識でそういう相互関係はあったと思うんですよね。それがあって、こういう曲たちが出来てくるのかな、とも思いますけど。『大洪水時代』とかは震災と関連して考えられがちなんですけど、作ったのは全然前だったんですよ。作った理由としては、その時にメンバーが抜けるという出来事があったんですけど、僕は辞めてほしくなくて。もうちょっとやろうよ、せっかく大海原に出るんだから、というメッセージを送りたくて作った曲なんですよね。ダイレクトに歌っても仕方ないから、海の物語として書こうと、そういうポジティブな気持ちで書いた曲なんですよね」

――ダイレクトでない表現方法を探すというのは、とてもceroらしいスタンスですよね。
高城晶平「苦手なんですよね(笑)。よく話すのは、恋愛の歌とかラブソングとかって聴くのは好きなんですけど、全員が共有できるものじゃないっていうか。それぞれいろんな恋愛のあり方があるから、みんなが共有するのは難しいと思うんですよね。人によって引っかかたりそうじゃなかったり。自分はそういうのを書くのは、あまり向いてないなと思ってて。それよりかは天気の歌とか……、それって若い人からおじいさんからおばあさんまで、共通の話題じゃないですか。昨日雨降ったね、暑ねとか。それぐらいのレベルのものをポップスに落とし込む作業のほうが、自分は好きだし得意だなって思ってて。前回のアルバムから、そういう表現をしてきたんですけど。そうしていくうちに気がついたら、今回はこんな壮大な風景のお話になってて(笑)。自分でビックリしますけど。そういう風景のなかに、少しだけ自分の気持が紛れ込んでいるぐらいが、自分はしっくりくる表現なのかなって思ってます」


「電車の窓から風景を見るのが好きで、理由もないのに乗ってた(笑)」

――曲調的にはちょっと異色ですが、「roof」の世界は、風景と感情が入り交じる先ほどの話のとおりの歌詞ですよね。
荒内佑「これは最初期の曲です」
高城晶平「このアルバムでも一番昔の曲です。それこそ一番最近作ったんじゃないかって思われそうな歌詞でもあるんですけど、7年前ぐらいですね。歌詞も当時と変わってないです。結成したばっかりで、とりあえず曲を作っていこうとなって3曲目か4曲目ぐらいにできたんじゃないかな。アレンジはすごく変わってますけど。今回曲を並べた時に、今までやってきた曲のなかで映えるものがあるかなと思った時に、『roof』がそこにはまる感じだったんですよ。この曲は、初期の曲のなかでも特に気に入っていたというか。今に通じるものもあるし、ずっと入れたいと思っていました」

――これは歌詞の通り、実際に電車のなかで見た風景がモチーフになっているんですか?
高城晶平「電車の窓から風景を見ているのがすごく好きで、じっとドアのところに立って夜の街とかをよく見ていたんですよ。当時は大学生だからすごく暇で、理由もないのに電車に乗って、定年したおじいさんみたいな(笑)」
荒内佑「(笑)」
高城晶平「音楽を聴きながら見るの最高に楽しいわ、みたいな(笑)。その風景を音楽にしたいなと。屋根や街並み、それを曲にしたいというのが最初でしたかね」
荒内佑「漫画の『棒がいっぽん』だったっけ?」
高城晶平「ああ、そうだ。高野文子さんの漫画。『棒がいっぽん』の最初に入ってる『病気になったトモコさん』っていう短編漫画があって」
荒内佑「それが今言ったような、電車からいろんな看板とかが流れていく作品なんですよ」

 




(1月16日更新)


Check

Release

album「My Lost City」

2500円
DDCK-1030
カクバリズム

LIVE

1月19日(土)19:00
TOKUZO
[一般発売]前売-2800円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
ジェイルハウス[TEL]052-936-6041
Pコード:183-460

チケット情報はコチラ
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