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WHITE ASHインタビュー
「自分の人生自体が人生ゲームですよ」

1stフルアルバムがオリコン・インディーズチャート1位を記録。2013年、最も勢いのある新人に贈られるCDショップ大賞“ニューブラッド賞”を受賞した4人組ロックバンド、WHITE ASH。メジャーレーベルへの移籍を果たし、夏にはアニメ「ガッチャマン クラウズ」の主題歌を担当したことも話題となった彼らが2枚目となるフルアルバム「Ciao, Fake Kings」をリリース。快進撃を続けるバンドのフロントマンであるのび太に話を聞いた。

――バンドの始まりはどんな感じだったんですか?
「イギリスにアークティック・モンキーズっていうロックバンドがいて、そのバンドを初めて見た時にめちゃめちゃカッコいいなと思って。そのコピーバンドとして、大学の軽音部で結成したのが始まりですね。当時はアークティック・モンキーズの他にも、ブロック・パーティとかザ・サブウェイズとか、洋楽のギターロックシーンが結構熱くて。ノリがよくて踊れる、そういうバンドの曲をコピーしてましたね。ぼくたち大学から楽器を始めてて。僕もアークティック・モンキーズを見てからギターを買ったんです。そのうちに自分たちでも曲作れないかなと思ってやってみたら意外にすんなり“できた!”っていう(笑)。それからライブハウスにも顔を出すようになったって感じですね」
 
――そもそもどんな音楽を聞いてきているんですか?
「年の離れた姉がハードロックを好きだったんです。だからガンズ(・アンド・ローゼス)とかモトリー(・クルー)とかを僕も小さい頃から聞いてて。それで聞こえたままに口ずさむっていうことをずっとやってて。その後にマイケル・ジャクソンを好きになって。だから音楽自体は小さい頃から聞いてはいたんですけど、自分でバンドをやってみたいっていう感覚もなく。中学・高校と卓球部だったんですが、大学生になって軽音楽部に入ったのはモテるんじゃないかと思って(笑)。でも入部の時点でなんの楽器もできなかったんでバンドも組めず……。活動らしいことが何もできないと思ってた時に、アークティック・モンキーズに出会って“あ、これだ!”と。それまでは誘われるのを待ってたんですけど、受け身じゃいけないと思ってメンバーを誘ったんですよね」
 
――アークティック・モンキーズのどんなところがカッコいいと思ったんですか?
「雷に打たれたような衝撃を受けたんです。確か3分ぐらいの曲だったと思うんですが、いま思うとそれだけで人生が変わっちゃったなと。何だか分からないけどカッコいいと思って、自分もそういうバンドをやりたいって感覚になったんで、不思議ですね」
 
――オリジナル曲はすぐにできちゃったって話でしたが、最初はどんな風に作り始めたんですか?
「いろんなバンドのコピーをしてるうちに、ある程度どうやったら曲になるかが分かってきて。邦楽ってメロディの良さを聴かせるためにAメロ、Bメロ、サビっていう流れでだんだんテンションが上がっていく構成が多いですけど、洋楽はどちらかというとすごくカッコいいギターリフとかがあって、その勢いでどうサビに持っていくかって感じで考えられてる。僕らもともとthe pillowsの『White Ash』って曲をライブの登場SEにしたいってことでバンド名にしたんです。the pillowsが大好きだし、THE YELLOW MONKEYもすごい好きで、邦楽のカッコよさやメロディの強さを洋楽のカッコよさとごちゃ混ぜにしたいなと」
 
――メンバー全員がほぼ初心者なのに、カッコいい曲をサラっと作れちゃったんですね。
「僕ら自身、曲を作る時のコンセプトとして“シンプルかつカッコいい”ってのがあって。それを軸に純粋に自分がカッコいいと思えるかどうかってことを大事にしてましたね。無理なことをせず、自分たちのできる範囲の中でカッコいいものを作る。それを誰かがコピーした時に“このフレーズめっちゃ簡単だけど、すごいカッコいい!”ってなった方が“すごいでしょ!”ってなるし(笑)」
 
――じゃあ曲を作る時は試行錯誤するんじゃないですか?
「そうですね。1曲作るのに何回も検証するんです。どこかで何かしら変化がないと僕自身が飽きちゃうので。でもその変化も必要最低限のものだけにしたいと思ってるので、引き算をどんどんしていきます。長く聞けたり飽きのこないものって、最終的にはシンプルなものだと思うんですよね」
 
――個性的な声質だと思うんですが、自分の歌声をどう思ってますか?
「僕、自分の声は好きなんですよ(笑)。歌うってこと自体、もともと好きで。よく自分の声を聞くと恥ずかしいとか言うじゃないですか。あれは全然ないです。お風呂場で歌ってる時なんかは、“今の歌い回し、めっちゃいいな!”とか(笑)。だから自分で音源作って聞いてみても、客観的に聞けますね」
 
――最新アルバムの中では日本語詞の曲もありますね。
「今の事務所のスタッフが、“トライしてみて上手くいけばいいし、ダメならやめればいい”って。それで2ndミニアルバムで弾き語りの全日本語詞の曲を作ってみたんです。それが意外にハマって。それまでは日本語じゃWHITE ASHじゃなくなっちゃうと思ってたんですけど、日本語でもWHITE ASHでいられることが分かって。そんな気付きもあって、今回のアルバムでも自信を持って日本語詞の曲ができました。今は曲に一番適した歌い方で、一番いい形で仕上がればいいと思ってますね」
 
――響きやメロディを重視した歌詞の曲には対訳を用意されてますが、その意図は?
「歌詞とは直接一致はしないけど、こんなイメージで歌ってますっていうのはあるから、それを対訳で用意してます。でも僕は対訳もひとつのガイドでしかなくて、聞いた人の感じたことが正解だと思うし、自由に聞いてほしいってのが一番ですね。何も考えずに聞いてもらってもいいし、どういう意味なんだろうって対訳を見てもらってもいいし、なんて歌ってるんだろうって歌詞を見てもらっていい。ライブとかでも一体感を求めてみんなで同じ動きをしたりするのもひとつの楽しみではあると思うんですけど、もっと純粋に音に乗るだけというか、そんなのがあってもいいなとは思ってて」
 
――自由度の高さは、最新アルバムの内容にも通じるものがありますね。
「今回、蔦谷好位置さんをプロデューサーに迎えて、バンドの軸がハッキリしたんですよね。今まではギターとベースとドラムだけがあればよかったけど、今回作った曲に関しては足りないなと思えるものも出てきて。例えばタンバリンとか鈴とかも入ってるけど、それも込みで必要最小限。シンプルかつカッコいいの軸さえブレなければ、逆に言うと何をしてもいいってことに気付けたので、今回のアルバムはバラエティ豊かだと思います。今は、すごい何でもできるなって感じです」
 
――ロックバンドって枠に縛られたくない?
「ロックへの絶対的なこだわりはないですね。それこそ僕の好きなマイケル・ジャクソンってポップだし、僕の根底にあるものはポップなんですよ。そのポップって言うのは、メロディでいえば分かりやすいとか、口ずさめるとか。僕はメンバー4人で作る音楽が一番大事だなと思ってるので、4人でやってシンプルかつカッコいいものであれば、どんなジャンルでもWHITE ASHだっていう確信はあります」
 
――WHITE ASHの目標は?
「例えば、ディズニーとかジブリって、初めて見ても“ぽさ”があって分かるじゃないですか。そういうのって代えのきかないものだし残ってるものだと思うんですよ。だから僕らもシンプルかつカッコいいものを作り続けることによって、みんながシンプルかつカッコいいものに出会った時に“この感じってWHITE ASHっぽいよね”って思ってもらえるようにイメージを伝えられたらいいなと思います」
 
――大いなる野望ですね。
「やるからには大きい何かを残したいと思ってますから。バンドを始めた当初は、カッコいい曲を作ってるのが楽しいだけだったんですけど、僕らのことを認めてくれる人が増える中で、バンドの役割として僕らが何をできるんだろうって考えた時に、他の人ができることはやらなくてもいいなと。僕らがやらなくちゃいけないのは僕らにしかできないことだなと。であれば、僕らはシンプルかつカッコいいって部分を突き詰めるのが使命で、そこは大切にしていきたいと思ってます」
 
――こだわりが強いようにも見えますが、肩の力の抜けた自由な風通しのよさもある。不思議なバンドですね。
「こだわってるところを最小限にして、それ以外を自由にしてるからですかね。小さなこだわりが全部に統一されていればいいかなと。それに今の音楽シーンって、バンドだろうとアイドルだろうと一切関係なくひとつのカテゴリとして評価されるから、その時に自分たちのことを自分たちでこだわれるかってことが、長く続けていくうえで最終的にとても大事なんじゃないかなと」
 
――いろんな部分で、客観的な視点を持って考えてますね。
「僕、ゲームを全然やらないんです。小学生や中学生の頃はやってたんですけど、RPGとかのレベルを上げるのが苦手で、ある時に思っちゃったんです。“このキャラクターのレベルを上げてる時間に、例えば本を一冊読むとか、現実において何かした方が自分自身のレベル上げになるんじゃないか”って。それからは自分の日常が一番エキサイティングなゲームだと思ってて。下手なことをしない限り死なないと思ってるんで、それが客観的な視点に繋がってるのかもしれないです。自分の人生自体が人生ゲームですよ(笑)。嫌なことやついてないことがあっても、それは一つのマイナスのマスに入っちゃっただけで、どんな状況になっても、最終的には上手くいくんだろうなって」
 
――リリースツアーの名古屋公演はクアトロですが、今までに一番ライブをやってる会場が名古屋のクアトロだとか!
「なぜか名古屋クアトロが一番多くて、ホームグラウンドのようで不思議です(笑)。今度のツアーは、今までの感じとは違う形になるんじゃないかなと思ってて。これまでは4人のバンドサウンドで鳴らせるのを前提として作ってきた部分があって、それが功を奏してた。今作は4人以上の音が入ってる曲があるので、それをライブでどう表現するかってことは、自分たちも楽しみでもあるし、楽しみにしててほしいところでもあります。来てくれる人がちょっとでも日常を忘れて、ただ純粋に音楽を楽しめることを大事にしたいなと思ってます」


Text by 澤井敏夫



(1月28日更新)


Check

Release

album「Ciao, Fake Kings」

2800円
VAP
VPCC-81784

LIVE

WHITE ASH One Man Tour “Lilium”

2月22日(土) 18:00
名古屋クラブクアトロ
オールスタンディング-3000円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※小学5年生以上有料。
サンデーフォークプロモーション[TEL]052(320)9100
Pコード:216-826