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TK from 凛として時雨 インタビュー
「バンドでは表現できないことを内向的な感覚で埋めるよりは、
 ソロだからこそあえて勝負してみたいなっていうのがあって」 (1/3)

凛として時雨のボーカリストでありギタリスト、そしてほぼ全曲の作詞・作曲を手がけるTKが、ソロとしては2作目のフルアルバムを発売した。3人の個性が強烈にぶつかるバンドに対し、ソロ作は世界観を時に繊細に、特に豊かに、様々な音色で表現する。バンド、ソロを通してメディアに登場することが少ない、TKこと北嶋徹に、ソロワークについて話を聞いた。

ソロだからって内向的になるんじゃなく、ちゃんと勝負したいなと思って。
 

――単刀直入に聞きますが、今回はそうとう手応えを感じたんじゃないですか?

「いやいや、ないですよ。全然。締め切りに間に合ったっていう手応えはかなりありましたけど(笑)」

 

――なるほど。結構ギリギリまで作業をしていたんですか?

「最後の方に一曲増やしたんですよ。『Spiral Parade』っていう曲なんですけど。できるかわからないけど、一曲作ってみようかなって。もうちょっと幅を広げたいなというのもあって。基本的には、貯めておいてそれをアルバムに閉じ込めるっていうよりは、まっさらな状態から掘り起こして、なんとか背景を作って。アルバムって、それが自分の中に今ある物なんだなっていう、確認という感じですね」

 

――1stアルバムに比べると、バンドに対してのソロの立ち位置だったり、やりたいイメージがすごく具体化されているように感じました。

「自覚はあんまりないんですけど、やっぱり1枚目の作品ってすごく衝動的なものだったりはするので、2枚目の1stアルバムみたいな感覚だったんですよね。もちろんソロとしてのテイストは1stアルバムの時からありましたけど、今回はその時よりさらに瞬間瞬間が鮮明に見えた感じがありましたね。」

 

――創作へのモチベーションも高かったのではないですか?サウンドへのアイデアもとても豊富な作品ですよね。

「ソロだからといって内向的になるっていうよりは、バンドはバンドで存在しつつ、そこに対して自分のソロで何ができるかっていうのも、ちゃんと真剣に勝負したいなっていう気持ちはすごく強くて。特に1stの頃よりも、もっと奥に伝えたいなと思って。それこそ『unravel』とか、いいタイアップのお話をいただいたので、今いろんな人に聴いてもらえてるんだと思うんです。アルバムはそこも踏まえて、今までは凛として時雨から入って聴いてくれてたファンが多いと思うんですけど、そこを一歩向こう側にさらに繋げていきたいなっていう思いがすごく強くて。だからコンセプトっていうのは特になかったですけど、そういう思いが作っていった音像っていうのは、少なからずあると思うんですよね」

 

 

自分が音楽に対して向き合う姿勢っていうのは、あんまり境目がなくて。
 

――今お話してもらったような、ソロとバンドの違いのようなものは、当初から明確にあったんですか?

「僕も周りも、やっぱり最初はどうなるんだろうって思ってたんですけど、結局やってることは変わらないっていうか。物理的に楽器が多く入れられたりはするので、ここにさらにこういう音が欲しかったなっていうことはもちろんなくなりますし、もっと自由に飛べてるって感じは、感覚としてはあるんですけど。でも、自分が音楽に対して向き合う姿勢っていうのは、あんまり境目がなくて。時雨はあの3人でやることが全てで、それ以上でもそれ以下でもない。だから激しい曲をソロでやるなら、それは時雨でできるんじゃないかっていう思いは、聴いている人はあると思うんですね。でも、それはソロの楽器を重ねたアレンジ等を経た上で結果としてできあがった物が激しい曲もあるだけで、時雨だったらそもそも生まれなかっただろうなっていうのがあるので、あんまりそこの差別化は気にしてないっていうか。逆にソロらしさと言って変に自分の意識を剥がそうとすると、自分が欲しかったものじゃないものを作ってしまいそうな気がして」

 

――確かに今回の作品って、すごくフラットな精神状態で作られている感じがしますね。

「『Fantastic Magic』とかは激しいですし、ピアノとヴァイオリンは入ってますけど、母体になっているのはバンドサウンドなんで、そういう所も普通に表現しつつ、弾き語りだったり四つ打だったりもあって。そこが境目なく収録できたっていうのは、やっぱ2作目独特の感じだったかもしれないですね。1作目にはないというか」

 

――1人でやるソロよりも、3人でやる時雨のほうがむしろ音が固定されてくるのは、面白い現象ではありますね。

「時雨は3人っていう枠を自分で作って、そこの中で三角形を一番マックスに広げられる状態の曲を作りたいっていう思いがあるんですよ。どこにも余白がないみたいな」

 

――その表現は、まさにあのサウンドを表した言葉ですね。

「そうなんですよね。だから足すことも引くこともいろんな扉を開けながら、あれでもないこれでもないっていう試行錯誤の時間は、時雨の方がすごく多いですし、やっぱり音としての純度はソロよりも時雨の方が高い。ソロはもうちょっとそこに壁がないっていうか、来てくれたミュージシャンが色を付けていったりもするので、音の重ね方の違いっていうのはありますね」

 

――ソロはより余白が意識されたサウンドに感じます。

「そうですね。空間に置いていく感じもありますし。最初に自分が作ったデモから、ピアノだったりヴァイオリンだったりを入れていった時に、どういう化学反応があるんだろうなっていうのを楽しめている感じはする。時雨の時の、自分を削って削って3人で表現できるなかのマックスの状態を作り上げるっていう作業。それってやっぱりすごく苦しいことなんですけど、でもあの2人の想像を乗り越えていきたいっていうのが一番強いので、そこに伝われば、結果としてリスナーに伝わるんじゃないかなっていう自信はありますね」



バンドではできないことを内向的な感覚で埋めるよりは、あえて勝負したい


――一緒に取り組むメンバーが替わるだけで、音楽への取り組み方も、感覚的な所も変化するっていうのは面白いですね。

「やっぱり全然違いますね。CDというパッケージになった時、その違いがどれくらいわかるかっていうのは、もう自分の意識するところではないと思ってるんですけど。ただ、自分も他の人のソロ作品を聴いてて、これって本体の方でもできるよなとか思ったりすることもあるので(笑)。でも、自分が作る立場として実際に作業をやってみると、結果的に近しい物に見えても、そのプロジェクトだったからそういう曲が生まれたんだろうなっていう意味が、やっとわかったというか。メンバーが違ったり、エンジニアが違ったり、プロデューサーが違ったりすることで、そのプロセスで生まれてくる物とか出会う物っていうのが全然違う。そういった意味では、ソロっていう表現は自分との新しい出会い、想像してなかった出会いとかっていうのが、すごく見える場所なのかなっていうのは感じますね」

 

――バンドとは違う音も出してみたいという欲求よりは、もう少し偶然的な要素でできてきたサウンドではあるんですね。

「そうですね。最初のスタートが偶発的な感じだったので、こんな音がまだ自分に鳴ってたんだなとか思って。時雨は細い筒の中でうまく音が鳴るように、いろんな物を排除して作り上げてるんですけど、そこだけで自分の音楽を終わらせてしまうのも、もしかしたらもったいないのかなと思って。自分の中にある音楽っていうのを、もっともっと見てみたいなっていう」

 

――時雨の時とは違う引き出しがあるのというは、以前から認識はしていたんですか?

「自分の中にあるのは知ってたんですよね。自分の名前を出さないでお手伝いをさせてもらったりとか、そういうことはやっていたんですけど、自分が誰よりも時雨らしいものっていうのをすごく求めていて、バンドに対する憧れみたいなものもすごく強い。だからソロよりもこれは違うとか、これはやろうとか、そういったジャッジが時雨の方が多いんですよね。そういったレンジの狭さが、多分リスナーの方ともシンクロしたんだと思うんですよね。バンドとソロは全然違いますよね」

 

――それこそ選ぶ言葉も、こんなに変化してくるんだなっていうのは驚きでした。

「自然な流れで変わっていったので、ここからガラッと変わったって訳ではないんですけど。もちろん1作目は1作目で、時雨と比べたらすごくオープンになってるって思った方も多かったでしょうし、今回は今回で、ソロ制作に入った時にいろいろ思ったことだったりとか、やってみて思ったことっていうのがすごく多かったので、そういうものがオブラートに包まれないで、そのまま入ってるのはあるかもしれないですね」

 

――変な狙いや計算みたいなものが、あまりされてないアルバムに感じました。

「そうですね。すごく自分の中で気持ちが引き締まってはいるんですけど、わざと開けている部分っていうのは、時雨にはなくて、ソロにはあるんだと思うんですね。その穴から零れていたものが、今まではすごく怖かったんですよ。自分の表現したいものが、ここから零れていくんじゃないかっていう怖さがあって。だからこそ、最初から百まで全部自分で確認して自分で音を作って、これが時雨ですっていう印をして出している感じだったんですけど、ソロはそういう余白も楽しめているような感覚がある。考えすぎてないというか、練られすぎてない。そういう余白が楽しめるっていう部分で、違いはあるかもしれないですね」

 

――バンドとソロで、そこは逆の人も多い気がします。

「多分そっちの方が多いと思いますし、普通の流れだと思うんですね。バンドでは自由にやって、そこからこういう音楽も好きなんだよなっていうソロ。でも自分がやるんだったら、バンドでは表現できないことを自分の内向的な感覚で埋めるよりは、ソロだからこそあえて勝負してみたいなっていうのがあって。バンドのライバルであってもおもしろいと思ってますし」

 

 




(10月19日更新)


Check

Release


album「Fantastic Magic」

2014年8月27日(水)発売
3000円(税別)
Sony Music Associated Records Inc.
AICL-2717

LIVE

TK from 凛として時雨 TOUR 2014 “Fantastic Color Collection”

10月22日(水) 19:00
ダイアモンドホール
全立見-4860円(整理番号付・別途ドリンク代必要。) UNDER 18 TICKET-1800円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
※UNDER 18 TICKETは、1995年4月2日以降の誕生日の方が対象。要証明書提示。
ジェイルハウス[TEL]052(936)6041

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