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中川晃教 活動15周年記念インタビュー
「ミュージカル俳優としてもSSWとしても、
自分の歌の力を1番に信じている」 (1/2)

ミュージカル俳優とシンガーソングライターとして活躍する中川晃教が、今年活動15周年を迎えた。2001年に歌手デビューすると、翌年に日本初演のミュージカル「モーツァルト!」の主演に大抜擢。それまでシンガーソングライターとして命を燃やしてきた中川にとっては、まさに衝撃のオファーであった。それから15年、彼はミュージカルファンなら誰もが知る存在になり、ミュージカル界になくてはならない俳優となった。 今回のインタビューでは俳優とシンガーソングライターの両方の顔にスポットライトを当て、この15年の活動を振り返ってもらった。そこには二足のわらじの活動であるからこその苦悩と葛藤、そして歌へ対する誠実な思いがあった。ミュージカル俳優でありシンガーソングライターである中川晃教だからこそ歩めた15年間、その心の変化を語ってもらった。

「『あっ!繋がった!運命だ!』と(笑)

――2001年にシンガーソングライターとしてデビューすると、翌年ミュージカル「モーツァルト!」の主演に大抜擢されました。夢に見ていたミュージシャンのデビューからわずか1年で演劇界デビューも果たしますが、もともとミュージカル俳優もやりたいと思っていたんですか?
「ミュージカル俳優として活動するなんて全く思っていなかった(笑)。子どもの頃に母親と一緒に舞台を観たことはあったけど、その頃はシンガーソングライターに絶対になりたいという気持ちが強かったです。ただ、ミュージカル俳優はシンガーソングライターとして通過するべきモノだと頭の片隅で思っていて。ミュージカルって主人公の気持ちを歌で伝えて、その時にまるで主人公と観客の気持ちが重なるかのような感動を与えるんです。それは歌の力があってこそなので、いち歌い手として通ずるものがあるなと。だけど子どもの頃に観たっきりミュージカルには全く触れていなかったので、デビューしてからすぐに『モーツァルト!』の話をいただいた時は驚きました。『あっ! 繋がった! 運命だ』みたいに(笑)」

――幼少期に観たミュージカルの記憶をふと思い出したんですね。
「頭の片隅にあった記憶がいきなり蘇ったのは衝撃的な体験だったな。それまで演技をやったことはなかったんですけど、『モーツァルト!』は音楽家の生涯を演じるので『これならできる』と思いました。音楽の生みの苦しみは経験しているから、演じる以前に体現することができるなと。だから周りに反対されながらも『これは絶対にやりたい』と演劇界に飛び込んだんです。ただ、それまではシンガーソングライターとして命を燃やしてきたのでミュージカル界では戸惑いが多かったです」

「つい最近まで『自分はミュージカル俳優じゃない』と言ってたんです」

――演劇界に慣れるにはどれぐらいかかったんですか?
「ミュージカルの基礎を身につけて、現場に慣れるには5年ぐらいかかりました。例えばミュージシャンだと長くても1年先のスケジュールを考えればいいですけど、演劇界は平気で3年後の作品のオファーがくるので(笑)。それに僕はつい最近まで『自分はミュージカル俳優じゃない』と言っていたんですよ」

え!? これだけ長年に渡って大作のミュージカル作品に出演し続けているのにですか?
「ミュージカル俳優は本当に努力の賜物によってなれるので、名乗ることが恐れ多い気持ちがあって。ミュージカルを本気でやっていこうと思えたのは、尊敬する人たちがたくさんいて、まだまだ自分にはできないことがたくさんあったからです。最近はミュージカル俳優としても自信をもてているので、『ミュージカル俳優の中川晃教です』と言うようになりました」

「シンガーソングライターがすべての出発点であることは変わらない」

――ミュージカルをやりはじめて10年以上が経って、ようやく胸をはれるようになってきたんですね。それだけ厳しい世界でもあると。
「右も左も分からないミュージカル界でがむしゃらに経験を積み重ねてきた事によって、ようやく自信をもつことができました。その中でオファーをただこなすだけでは絶対にいけないと感じて、ミュージカル界の第一線で長年にわたって活躍していくなら自分の目標を決めようと思ったんです。それが自分のミュージカルを作ることでした。これだけたくさんのミュージカルに出演しているなら、ミュージカルの作り方も知ることができる。そういう新しい視点を持って作品に望むようになったら、ミュージカルに対してもっとオープンになれた。そうしたらミュージカルを自分のモノとして引き寄せることができるようになってきました」

――自分のミュージカルを作るというのは、すごく大きな夢ですね。誰も歩んでこなかった道を進んでいる中川さんらしいです。
「ただ、どうしても『自分のミュージカルを作りたい!』という夢を語ると『もうアーティストとして活動しないんですか?』と言われることが多くて。僕としてはミュージカル俳優と呼ばれようがシンガーソングライターと呼ばれようが、どっちでもいいなと思っています。それは両方の活動に対して胸をはってやれているからです。でも、やっぱり自分の原点はシンガーソングライターだから、それがすべての出発点だという事に何度も行き着くんですけどね(笑)。お客さんはその姿を観る機会が少ないので、こうしてミュージカル俳優の中川晃教だけではなく、シンガーソングライターとしての中川晃教としても受けるインタビューはとても意味があると思っています」

「二足のわらじを経験したことで、本物のエンターテイナーを目指す」

――この15年間、アーティストとしての一面もある中で、ミュージカルファンなら誰もが知る俳優となったわけです。良くも悪くもミュージカル俳優としてのイメージが定着していますが、そうした部分でのジレンマはありましたか?
「いや~葛藤はめちゃくちゃありましたね。昔のスポーツ紙をみたら『俺は俳優じゃない』とでっかい見出しで書いてあって、なんでこんなことを言ったんだろうと思いましたから(笑)」

――それはすごい衝撃です(笑)。中川さんのフラストレーションが伝わってくる見出しです。
「シンガーソングライターとしてデビューしていながら、ミュージカル俳優としての自分ばかりがどんどん大きくなっていく歯がゆさがありました。外から見れば『中途半端にやって』 と思われてしまうこともあったでしょうし。ただそう思われようが、自分の歌の力を1番に信じていて、それを多くの人に届ける環境が必要だったんです。ミュージカルは自分のやりたい事を叶えるための場所であり、また与えられている環境だと思った時に、そのジレンマがなくなっていきました。ただ、そうやって決意したタイミングに限って、スタッフに『ミュージカル調子良いですね』と言われた時は『はぁっ!? 何?』となりました(笑)」

――ようやく自分の中でバランスが取れてきたのに…と(笑)。
「もちろん分野は違いますけど、同じ表現だし、お客さんを楽しませることに変わりはないですからね。その時に気づいたんです。『自分はアーティストだとこだわってやってきたけど、俺が目指しているのはエンターテインメントなんだ』と。アーティストは自分の世界観を大切にしていて、そのパワーによって人の心を魅了している。ただミュージカルは、例え自分が主役だとしてもお客さんは自分だけを観に来ているわけではなく作品を観に来ているんです。もっと言えば中川晃教ではなく、中川晃教が演じている◯◯役を観に来ている。という事は、自分は作品のピースなんだと理解した時にだいぶ楽になった。自分のコアな部分を全面に出すアーティスト活動とミュージカル活動をしたことによって、自分は本物のエンターテイナーを目指せるんだと。そうした意識の変化によって、よりミュージカルにのめり込んでいきました」
 




(5月13日更新)


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Release


album「decade」

3000円(税別)
VICL-64523
ビクターエンターテインメント

LIVE

「中川晃教 LIVE 2016
in NAGOYA」

▼5月19日(木) 18:30/21:15
名古屋ブルーノート
アリーナ立見 4860円
チケット-7,800円
チケット(グルメプラン)-10100円
チケット(和風グルメプラン)-10300円
名古屋ブルーノート[TEL]052(961)6311
※チケット購入は名古屋ブルーノート公式HPにて。