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髭(須藤寿)インタビュー
「100回やって、95回失敗、5回成功なんだったら、
 95回を披露したほうがいいと思うんですよね」

メンバー脱退、自身のレーベル「Creamy Records」の設立など、ここ数年は節目といえる時期を過ごしてきたロックバンド、髭。昨年リリースしたアルバム「ねむらない」は、バンドの新たなフェイズが見える作品だった。彼ら自身も手ごたえを感じたという「ねむらない」以後の活動について、ボーカルの須藤寿に話を聞いた。

――まずは今年、タワーレコード限定シングルとしてリリースされた「DEVIL'S ODD EYE」と 「スターマイン」のお話から。最初から連作は想定していたのですか?

「最初からではなかったですね。『スターマイン』は前作のときにすでにあった曲なんですよ。それで、いくつか作っているうちに『スターマイン』と『DEVIL'S ODD EYE』であまりにも世界観が違うから、分けて、2枚連動作になったら面白いねという考え方が出てきて。『スターマイン』の方にはフォーキーな楽曲、歌詞世界も自分たちの良心的な部分が出る方をまとめて、『DEVIL'S ODD EYE』の方にはサイケデリックなダンスビートというか、そこに意識を寄せた3曲にしようと」

 

――『スターマイン』は須藤さんのソロワークの影響を感じるというか、あまり書いてこなかったタイプの歌詞ですよね。パーソナルな視点も感じる楽曲です。

「確かに昔だったらあまり書いてないタイプの歌詞だと思うんですよね。特に髭では。意識してというよりは、ナチュラルに書けました。ソロプロジェクトの影響も多分にあると思います。髭のメンバーじゃない人間とも音楽を作っていくことで、楽曲ももちろんですけど、歌詞とか、自分が眺める景色が変わったのかもしれないですね」

 

――ご自身のなかでソロとバンドは差別化はしているんですか?

「区別できたらいいなと思ったんですけど、そんなに器用にできないというか(笑)。それでこういう曲もできてきたんだと思います」

 

――カップリングのアイデアも面白いですね。セルフカバー、というよりもリミックスと言ったほうが近いかもしれません。

「シングルサイズって、いい意味でフルアルバムより責任感が少ない、いろんな遊びができると思うんですよ。昔の曲をリアレンジして、リズムやコードでどれだけ見える風景やシーンが変えられるか、そういう遊びをライブでもよくやっていたんですよ。ひとつのフレーズをループしながらどこまで気持ちよくなれるのか、ワンフレーズを持ってスタジオでジャムる、セッションしてみるようなことを。最近、コード展開が少ない曲も多くなっているのは、そういうのが理由だと思います。逆に家でアコースティックギターで曲を作っていくと、どうしてもフォーキーなほうに曲が寄っていく。だから『スターマイン』はコード展開が多くて、自宅で作った雰囲気が残っているんですよ。『DEVIL'S ODD EYE』はわりとワンフレーズの力ですよね」

 

――サウンド面では「ねむらない」以降の、髭のモードが見えてきた感がありますね。

「次のアルバムに向かって、というなかで出てきたものだとは思います。またギターロックをメインにした楽曲、サウンドメイキングにしようとは思っていますね。あまりパソコンのアプリケーションを開かずに、それぞれの持ち楽器でアレンジしようみたいな。シンプルなアレンジメントにしたい。この楽曲たちを作り終えて見えたものかもしれないです。それこそバンドを始めた頃って、コンピューターを使った技術も今ほどではなかった。だから原点回帰というか、ゲット・バックみたいな言葉になってくるのかもしれないけど、一番最初に結成したときのフィーリングをここで思い出したら、髭でしかないことができるんじゃないかなと。もう新しいとか古いとかでは無い気がしてて。なにやったって見たことがあるし。だから新しいものを目指すんじゃなくて、髭らしいものを作りたいなと思ってます。」

 

――不便に、むしろ縛りを作っていくような発想ですよね。

「完璧に寸分たがわぬものはデジタル上で作れるわけで。それを自分たちも聴いたりはするけど、髭としてそうしたいかと言ったらそうではなくて。間違いが生じている、ミスが生じているものがやっぱり髭だと思うし、そういうところは認めてやっていく。『ねむらない』もたくさんのミスが起こってるし、それを修正しないようにしていた。できないものをできるまでやった奇跡の一回みたいなもの、それがお前なのかと言うと違う気がしちゃうし、100回やって95回失敗、5回成功なんだったら、95回を披露したほうがいいと思うんですよね。そっちのほうが自分だから。より明確に認めて、楽曲制作なり、アプローチなりで立ち向かっていけたらなと思います。ミスがそのままミスとして、隙間をそのまま隙間として残すというか」

 

――勇気も必要なジャッジですよね。

「それはありますよね。間違えてるなって自分でも思うから(笑)。もちろんグリッドに沿ったほうがいい音楽もあるけど、髭は人間が叩いててプログラムじゃないし、そういうところがチャームポイントだから。バンドってすべからず、そういうアナーキーな空気があると思うんですよ。もともとそれぐらいの気持ちで始めましたからね。髭って名乗っている以上はそういうアナーキーな部分、そういうズレ感を残しておくことがやることなのかなと思ってますね。直しすぎないこと。テクノロジーをうまく使わないと、みんな一緒になってしまうというか。整形している女性がみんな同じ顔みたいなことと、同じだと思うんですけど。今は歌っているのがユニットなのか、バンドなのか、名前すらもわからないことも多い。個人的にはそういう音楽も好きで聴くんですけど、髭はそういうところに溺れたくないというか。その波に飲み込まれないようにするには、個性を出してアルバムを作っていくしかないのかなと思ってます」

 

――最後にツアーについてうかがいますが、いろんな楽曲ができるタイミングですよね。

「『スターマイン』『DEVIL'S ODD EYE』以降の新曲もあるし、アルバムツアーっていう縛りがないので本当に古い曲もやる。かなり新旧織り交ざったセットリストになると思います。僕たち的にもチャレンジ性の高いツアーになりますね。さっき話した、メンバーの個性が出る、肉体的なセットリストにしたいな。そういう意味でも、来年のアルバムに向かっていくツアーになると思いますね」

 

 

インタビュー・文:阿部慎一郎(ぴあ)




(11月 7日更新)


Check

Release


single「DEVIL'S ODD EYE」

1200円+税
Creamy Records/Bauxite Music wy.
XQLX-1101
※タワーレコード限定/数量限定盤


single「スターマイン」

1200円+税
Creamy Records/Bauxite Music wy.
XQLX-1102
※タワーレコード限定/数量限定盤

LIVE

『YAYAYAYAYA』 TOUR

11月26日(土) 18:00
名古屋クラブクアトロ
全自由-3800円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
ジェイルハウス
[TEL]052-936-6041

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