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「新しい面を出したというより初期に戻った感じ」
GOOD ON THE REEL
千野隆尋、伊丸岡亮太インタビュー

ステージで紡がれるサウンドと歌声に、知らずと引き込まれてしまうような楽曲が魅力でもあるGOOD ON THE REEL。
最新アルバム『グアナコの足』では、ノリの良いリズムでライブ感のある楽曲がそろった。とはいえあくまで彼ららしさは感じる作品を引っさげ、ダイアモンドホールでのワンマン公演も決定。ボーカル千野と、メインコンポーザーの伊丸岡から話を聞いた。

――アルバムタイトルが『グアナコの足』ということですが、前作『ペトリが呼んでる』に続いて、印象的な単語ですね。
千野「1曲目に『砂漠』という曲が入ってるんですが、その歌詞の中に“花”という言葉が出てくるんですね。そこから“砂漠に咲く花”ってあるのかなと調べたときに“グアナコの足”という単語が出てきたんです。雨が降った後に砂漠一面にワイルドフラワーが咲き誇る現象のことを言うんですが、それがこの『砂漠』の歌詞にぴったりだと思ったんです」
 
――歌詞からの発想だったんですね!
千野「そうです。それで1曲目に『グアナコの足』というタイトルをつけようと思ったんですけど、亮太に言ったところ、“砂漠”も曲名としてあまり世の中に出てないから、1曲目は『砂漠』でいいんじゃないかと」
伊丸岡「聞きなれてる単語だけど、曲名ではあんまりないですよね。それに“砂漠”となると、少し暗い雰囲気も持ってしまうし」
千野「でもこの曲はすごい明るい曲だから、逆に『砂漠』でいいんじゃないかと。『グアナコの足』は単語としてあまり聞かないから、アルバムタイトルにしたらどうかっていう提案をもらって、確かに!と思ってこうなりました」
 
――GOOD ON THE REELは、聴かせる曲というのが武器のひとつだと思うんですよね。今回のアルバムはみんなで楽しむ曲というか、ライブをイメージしやすい曲が多いように感じます。
千野「まさにその通りで、最初からそのテーマで取り組んだんです。前作の『ペトリが呼んでる』は僕らとしてもすごい自信作なんですけど、落ち着いた曲が多くなったので、次のフルアルバムではライブ感があるものや、テンポの良いものをたくさんいれようと話したんです」
伊丸岡「全体的に勢いのある曲だったり。特に今回、全曲通してリズムが面白い曲が多いと思うんですが、ノレるというのも意識しました」
 
――基本的に作曲はほぼ伊丸岡さんですけど、今までと違う楽曲というのを意識的に作ったということでしょうか?
伊丸岡「そうですね。僕、ドラムも好きなんですけど、ドラムのフレーズも全部考えました。いろんなリズムを入れたいなと思って盛り込んだので、結果いろんなテイストの曲ができました。今回、そこが1番楽しかったです」
 
――曲作りのとき、各パートまできっちり作りこんで持っていくんですか?
伊丸岡「今回は特にそうです。今まではみんなでアレンジしてたんですけど、今回はデモの段階でほとんど作っていきました。それをみんなに投げて、そこから付け加えたり、引いたりしながら完成させました」
 
――1曲を除いて伊丸岡さんが全て作曲してますが、ここまで伊丸岡さんのみということはこれまであったんですか?
伊丸岡「ここまでは初めてですね。何曲も作っていったら、みんながそれがいいって言ってくれたので。広平とかも作ってきてましたけど、選曲してるなかで、自分の曲が選ばれていったという形です」
千野「今回、リズムから作ったと言いましたけど、亮太の打ち込みの技術が単純にすごいあがってきてるんですよ」
伊丸岡「自分の頭の中にあるものを、ちゃんと出せるようになってきたんです」
千野「デモを聞いた段階ですでに格好いいんですよ。今まではバンドでレコーディングして、マスタリングしてから、あ、格好いいねってなってたものが、打ち込みのクオリティがあがってるから、単純にもう格好いい!」
伊丸岡「そう思わせるように作ったっていうのもあります(笑)。あとは俺がイメージしてるものに、どこまで近づけられるかっていうことが難しかったです」
 
――プレイヤーへのプレッシャーが半端ないですね(笑)。
伊丸岡「そうそう、みんなにプレッシャーを与えてました(笑)」
 
――打ち込みでリズムパターンを作ると、生身で演奏するのが大変な場合もあったんじゃないですか?
伊丸岡「それぞれみんな手クセがあるじゃないですか。今回そのクセを排除したかったっていうのもあります。譲れない部分も結構あったから、みんなには言うことを聞いてもらうことも多かったですね。僕が1回叩いみせで、各メンバーにやってもらうというやり取りも何度もありましたしね」
千野「単純にドラムをずっとやってた人と比べてクセがないんですよ。感覚で叩くから出来ちゃうんですけど、ドラマーのルールとしては出来ない、というのもあったりするんですよね」
伊丸岡「そういうのを壊してあげたり。ここ、こっちの手で叩いた方が流れがいいのに、なんで?とかめっちゃ細かい話もしましたよ」
千野「でも説明がすごく感覚的だから、僕がそれをさらに説明するんです(笑)。亮太はここでアクセントを欲しがってるから、こういう風に叩いて欲しいと思ってるんだよって全部説明する」
伊丸岡「ドラムだけじゃなく、ギターの広平とかも手クセがあるから、俺がまず弾いてみせるんですよ。いつもの手クセだと出来ないってなるから、千野ちゃんが説明してくれる。通訳ですね(笑)」
千野「亮太が理想としてる形に近づけられるように、メンバーそれぞれのクセと、亮太がやってることとの違いをすごい探しました」
伊丸岡「僕のことを1番理解してくれてるので、説明に適してたんです(笑)」
 
――まさか、ボーカル録りの前に通訳としての仕事があるとは(笑)。そうすると今回は、伊丸岡さんの色が濃くでた作品とも言えるんですね。
伊丸岡「曲だけ聞いたら踊れる要素もあって今までと違うかもしれないけど、歌詞を読んだらまた変わりますよね。GOOD ON THE REELにちゃんとなるなって」
 
――千野さんとしては、今までと雰囲気の違う楽曲に歌詞を書くにあたって、やはり違いはありましたか?
千野「昔は詞先が多かったんですけど、今回は亮太が作りこんできたデモがあったので、曲先が多かったです。何もない状態から書くのではなくて、最初から雰囲気があって景色がみえる。その音から紡ぎだす言葉をメモして、印象深かった言葉をテーマにして、広げて作るという流れが、今回わりと多かったです」
伊丸岡「今までにない歌詞が多いよね」
千野「あえて雰囲気と間逆のことを書いたりもしましたしね。メロディが決まってると、文字数が合わなかったり、この言葉だと歌いづらいとかあるので、細かいところを合わせるのはすごく難しいですけどね。亮太に、ここ一文字増やしていい?とか相談しながら」
伊丸岡「そしたらメロディ変えるね、とかやり取りしながらですね」
千野「あと、こういう雰囲気のメロディだと自分で捉えて、言葉を詰めちゃったりもありましたしね。繊細な曲だったり、ここは亮太がこだわってるだろうなというのは聞いたりもしたし」
 
――詞先だと自分の中から生まれてくる言葉が多いと思うんですが、曲先だと曲にインスパイアされて生まれてくる言葉もありますよね。そういうところでこれまでと違う歌詞になったなどはありましたか?
千野「映像作品を作ってるような、自分と違う主人公を立てる感覚ですね。頭の中でストーリーがあって、それを言葉に起こしていく。もちろんその中には、自分が日常で見つけたものだったり、経験したものも織り交ぜていくんですけどね」
 
――『あいつ』の、ダメ男に振りまわされる女を描いたような歌詞なんて意外でした。
伊丸岡「たぶん今回これを聴く人はびっくりすると思う」
千野「ただ自分の中では、新しい面を出したというより、初期に戻ったような感じなんですよね。今回、亮太が持ってきたのが、結構ぶっとんだ曲が多かったから、俺が持ってる初期衝動的な部分や、昔書いてたような感覚が呼び起こされたんです。亮太のデモが鍵になって、そういうところを開いてくれたような感覚です。俺もこういうことを書いちゃおう!って」
 
――GOOD ON THE REELではこの歌詞はNG、というような感覚はあったんでしょうか?
千野「はっきりと意識してたわけじゃないけど、11年もやってるとGOOD ON THE REELはこうあるべきっていうのが自然と出来ちゃってたんでしょうね。それが開いた感覚があります。『冬の羊』も、9年前ぐらい、21歳ぐらいのときに作った曲なんですよね。当時、亮太とルームシェアしてたんですけど、そのときの1曲です。これをインディーズの1stのときから入れたかったんですけど、今回やっと入れることができた。これが作れたのも歌詞を広げられたきっかけにもなりましたね。こういうことを書いてもいいんだって」
 
――作曲面で新しくチャレンジしたことが、昔のことを呼び起こすというのは面白いですね。
伊丸岡「当時、いっぱい歌詞を書いたノートがあったんですよ。それを見せてもらって曲を書いてたんですけど、今回はその頃のような感じがしてます」
千野「交換日記みたいなものをやってたんです。まさにそのときの感覚でした。新しいというより懐かしい」
伊丸岡「ただ世には出てない曲たちなので、他のメンバーですらこの感覚はわからないかも。僕が懐かしいだけで。でもこれから幅も広がって面白くなっていくと思います。言っちゃえばこれからが第2幕という感じです。」
 
――ノリが良い楽曲ということで、ライブも楽しみなのですが。
伊丸岡「音をもうちょっと楽しんでもらえたらなと思ってるので、それが伝わればいいな。後、僕は名古屋が地元なので、友人も呼べたらと思ってるし、なによりダイアモンドホールでワンマンできるというのが楽しみです」
千野「アルバムがノリの良いものになったので、勢いのあるライブをしたいです。今まで聴かせるライブだったと思いますし、もちろんそこも変わらないところではあります。ちゃんと伝わる音楽をしたいし、温度のある音楽を続けていきたい。そこは変わらないけど、自然と体を動かしてやりたいですね」



取材・文:小坂井友美(ぴあ)



(3月 8日更新)


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Release


album「グアナコの足」

【初回限定盤(CD+DVD)】
3600円(税抜) UPCH-7225
【通常盤(CD)】
2800円(税抜) UPCH-2108
ユニバーサル ミュージック

Live data

GOOD ON THE REEL 2017 TOUR
「グアナコの行進」

5月21日(日) 18:00
ダイアモンドホール
スタンディング-3700円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※6歳以上有料。
サンデーフォークプロモーション[TEL]052-320-9100
一般発売日:3月12日(日)
Pコード:321-712

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