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“2週間、毎日がハマショー”
迫力の映像と音で、浜田省吾の歌の世界を存分に体感しよう

浜田省吾が、2015年に発売されたアルバム『Journey of a Songwriter 〜 旅するソングライター』を引っ提げて行ったホールツアー、そしてアリーナツアーの映像をベースに、全く新しい映像作品として生まれ変わった劇場上映作品『旅するソングライター』。40周年を越えてなお、常にライブには多くの人が集まり、熱狂的なファンも持つ浜田。歌の世界観がより際立つコンエプチュアルなライブ映像は、実力派バンドの音とともに、劇場で見てこそ、真に体感できるものになっている。
その作品を監督したのは、浜田省吾と長年のつきあいのある板屋宏幸。この作品が出来た経緯、思いについて語ってもらった。

――いわゆる音楽作品の劇場版となると、ドキュメンタリーか生々しいライブ感が伝わるものが多いです。しかしこの『旅するソングライター』はそのどちらでもないですよね。ライブ映像をベースに作ったMVというか、この映像自体がひとつの作品として、曲の世界を表現しているものになっているように感じます。板屋さんとしては、当初から想定していた形なのでしょうか?
「違います。実は2015年の11月に、浜田さんから『板屋くん、アルバム「旅するソングライター」はツアーで全曲演奏しているので、そのひとつひとつに映像をつけて作品にしない?』というアイデアをもらったんです。だけど僕はまさか本人からそんなことを言われるとは思ってみなく、春先まで他の仕事を入れてしまっていて……。2016年の9月からアリーナツアーを行うことは決まったこともあり、作品を発売するのであればゴールデンウィーク頃には発売したいじゃないですか。でもそれまでに完成するのは無理だということで、結果的に、『板屋くんの制作スケジュールが取れないのであれば、お互い納得できるものができないかもしれない。それであれば断念します』とメールを頂いて……。それで“本当はやれたんじゃないか?”という心残りもあったんです。そこから紆余曲折があり、ホールツアーとアリーナツアーのライブを中心とした劇場版を作るという話になったときに、あのとき浜田さんが作りたかったであろうイメージに、もう一度立ち戻ろうと思って、こういう形になりました」
 
――では、MVを作るという話と劇場版という話は、別軸で起こった話だったんですね。
「浜田省吾の劇場版を作りたいという話は、何年もずっとしてたんです。いくつものアイデアをプレゼンしたりもしてたのですが、なかなか実現には至らず……。最初、この劇場版の話がきたときは、僕たちが1番最初にやりたかった企画ではなかったんです。働いてる人たちが仕事終わりで気軽に浜田さんのライブが楽しめるような、ライトユーザー向けな企画として僕のところにきたんです。だから『大阪とさいたまの良いとこ取りでくっつけたようなライブビデオは作りたくない!』と言いました。そしたら『じゃあ板屋くんが作りたいものを見せてくれ』と言われ、サンプルとなる作品を作って……この形になるまでは結構大変でした(笑)」
 
――ライブ映像に、別のイメージ映像を重ねられたりしてますよね。流動的であるライブ映像に合わせて、曲のイメージになる他の映像をうまくマッチングさせるというのは、ただMVを作るより大変なんじゃないかと思ってしまったのですが。
「今回の作品は“あの感動をもう一度”というようなライブの再現を目指していないんです。ドキュメンタリーのようにバックヤードも入れていない。歌詞がセリフで、曲がストーリーを紡いでいくような…そういう音楽映画を自分なりに目指した結果になります。2015年に浜田さんが僕に『作らない?』と言った、そのとき彼が見ていた景色に僕が再訪して同じ景色を見て作ったというように感じています。お客さんにとっては、シンプルなライブ映像の方がよかったのに、という声があがるのは覚悟のうえです」
 
――重ねてるイメージ映像にも浜田さんが出てきたりもしますが、これはライブとは別に撮影したんですか?
「撮りにいったものもありますし、これまでにストックとして持ってたものもあります。ありとあらゆる映像を全部集めて、そこからイメージを構築していきました」
 
――何に何を組み合わせるのがいいか、というのを膨大な映像の中から組み合わせるなんて、いちから作るより大変ですね!しかも合成が絶妙で、ライブ映像とイメージ映像の配分や重ね方など素晴らしかったです。
「サンプルで見せているものには合成がうまく映らないんです。なので最後まで合成を減らす減らさない、音を乗せる乗せないというのはずっと議論していました。映像を作った曲も、本人に3曲削ると言われて、『えー!??』となったり(笑)。じわじわ交渉して痛み分けにするとか、延々とそんなことをやっていました」
 
――曲のセレクトはどのようにしていったんですか?アルバム『旅するソングライター』の曲がメインというのはあるかと思うのですが。
「上映時間は116分なんです。最初に浜田さんと必ず2時間以内にしようというのはあったので、この曲を入れたいとなったら他の曲が外れてしまうんです。僕が入れたい曲と浜田さんが入れたい曲が違う場合ももちろんありますからね。曲順に関しては本当に大変でした、ABCDEF…って何パターン作ったか。ただそこでやはり浜田さんの考えの深さには感心することも多かったです。浜田さんって人に優しくて自分に厳しい人なんです。ものすごい洞察力と思考力と決断力、そこに包容力がある人。今回の曲順に関して、『なんでこの曲が入ってないんだ!』っていう人はきっといると思うんです。僕にだってそれはあります。この曲はどうしても入れたくて編集もよく出来ている。だけど彼が嫌だというときには、“この曲が良いから入れたい!”というよりもっと深いところまで考えて判断してるんですよね。だから僕も、ある程度のところまでは交渉しますけど、最後には浜田さんの意見を信じます、ってなる。そこが浜田さんのすごいところですよね」
 
――浜田さんの思いはありつつ、板屋さんとして曲を選ぶ基準はどこにありましたか?
「もちろん『旅するソングライター』がメインというのはあります。それにプラスして、ホールやアリーナでのツアーのスケール感が伝わるようなものというのはありました。それと、観て楽しいもの、自分が歌ってみようと思えるようなライブ感があるものというのも大切にしました。音楽ものですが、シナリオがあるような起承転結は心がけたつもりです。ちなみに、この作品、映画観ながら歌っていいんです。周りの迷惑にさえならなければ立って盛り上がってもらいたいぐらいです(笑)」
 
――上映期間は2週間で、キャッチフレーズが「2週間、毎日がハマショー」ですね(笑)。映画館の迫力ある音でぜひ観て、聴いてもらいたいですね。
「音にもすごい拘ってますし、映画館は5.1chサラウンドになります。浜田さんのバンドは日本で最高のミュージシャンですから、その迫力あるサウンドをもう一度体感できて、なおかつ弾いてるときの表情や呼吸までも表現できたんじゃないかと思ってるんです。2回、3回、4回と、仕事返りに“毎日ハマショー”してもらえたら本当に嬉しいです」
 



(2月 1日更新)


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板屋宏幸監督

Movie data

『旅するソングライター』

2月9日(金)~2月22日(木)
ミッドランドスクエアシネマほかにて

【オフィシャルサイト】
http://hamasho-tabisuru.jp/

[2018年/日本/ライブ・ビューイング・ジャパン]
監督:板屋宏幸
出演:浜田省吾