ホーム > インタビュー&レポート > Nothing's Carved In Stone インタビュー 「信じているものを曲げずに続けることで、  自分たちだけの道ができる」

Nothing's Carved In Stone インタビュー
「信じているものを曲げずに続けることで、
 自分たちだけの道ができる」

結成10周年を迎えるロックバンド・Nothing's Carved In Stone。彼らが約1年ぶりとなる9枚目のアルバム「Mirror Ocean」をリリースした。村松 拓(Vocal&Guitar)、生形 真一(Guitar)、日向 秀和(Bass)、大喜多 崇規(Drums)という名立たるミュージシャンが集い、愚直に自分たちがカッコイイと信じる音楽を鳴らし続けてきた。そうした節目の今年10月には、初の日本武道館公演も決定。ボーカルの村松にニューアルバムやこの10年間のバンド活動について語ってもらった。

「ライブでアーティストの感情がダイレクトに伝わるように

――Nothing's Carved In Stoneは10周年を迎えた訳ですが、今の心境を聞かせてください。

「もう10年かという気持ちもあれば、まだ10年という気持ちもあって。そもそもこのバンドをはじめた時に、メンバーの中で自分の経験値が圧倒的に足りなかった。そこを最初はパッションや負けず嫌いな性格でなんとか乗り越えていたけど、途中からボーカリストとしてのテクニックをもっと鍛錬しないといけないと気づいて。それは作品に対するインスピレーションだとか、ライブでの立ち振る舞いとかも含めて。他のメンバーが凄腕のミュージシャンだったからこそ、じゃあ自分はNothing'sのボーカリストとしてどうしていけばいいかと考えるようになり、そこからすごく変化していったと思います」

――そうですよね。拓さんのボーカリストとしての成長と変化があったからこそ、Nothing'sがバンドシーンの最前線で10年活躍し続けてこれたと思います。

「そう思ってもらえていたら嬉しいですね。ただテクニックの部分でどれだけ成長しても、自分の理想のバンド像に必要なものだからパッションの部分は絶対に無くしたくなくて。Nothing'sはジャンルに縛られないバンドだから、ライブのステージで自分がどんな事をオーディエンスに投げかけるか、パフォーマンスをするのかってすごく重要なんです。そうしたバンドの核みたいなモノを自分の発信によって作ってこれた感触は、バンドを続けていく中でありましたね。これまでのバンドでは自分の個性だけを突き詰めていけばいいと考えていたんですけど、Nothing'sではNothing'sに求められているものも考えていかないと今のような成長はなかったでしょうね。その二つのバランスについてはすごく考えて活動してきました」

――ジャンルにとらわれないバンドだからこそボーカリストとしての引き出しもすごく増えたんじゃないですか?

「新しい自分を発掘し続けてきた感覚はめちゃくちゃありますね。3枚目のアルバム『echo』からは特に今の自分の持っているものだけでは駄目だなとより実感したので、そこから貪欲にボーカリストとしてのスキルや自分の引き出しにないものを突き詰めていきました」

――先ほどパッションを大事にされていると話していましたが、拓さんにとってパッションはなぜ大事なのでしょうか?

「ライブを観るのが好きなのでよく観に行くんですけど、良いライブだなと思うのはやっぱり熱があるライブなんですよね。MCなどがなくても、その人たちの熱が伝わってくるライブがすごく好きで。それって演奏しているアーティストの気持ちがないと伝わってくるものじゃないから。“今日良いライブできなかったな”と思った時はどこか心あらずの状態で、逆にめちゃくちゃ落ち込んでいてその気持ちをおもいっきり表現したライブの方が良いこともあるんですよね。だからライブでアーティストの感情をダイレクトに伝える事はすごく大事にしています」

――確かにNothing'sのメンバーの演奏はクールな時もあれば、熱い時もありますもんね。

「そう。だからバンドがもってる魅力を最大限だせるフロントマンでもあり、メンバーの気持ちを一番でっかい音で鳴らせるスピーカーみたいになりたいって思いもあるんです。Nothing'sでの初ライブの時にあまりにも緊張しすぎてトイレで吐いたりしてたんですけど、他のメンバーはキャリアがあるから余裕なのかなって思ったら俺以上に緊張していて(笑)。ワンステージに懸ける思いは皆が一緒で、それが年々強くなっているのはあるかもしれない」

――そうやってメンバーが同じ思いでバンドができていないと、10年間でこれだけコンスタントに作品を出し続けるのも難しくなってきますよね。

「まさにそう。まだまだ沸いてくるものがあるからこうやって作品を作れていて、そこはメンバーに恵まれているなって。別に良い話にしようと思ってるんじゃないんですけどね(笑)。同じことしかできないバンドだったらこれだけアルバムを作れないと思うし、自分たちも退屈になってくる。うちのバンドは本当に面白いんですよ」

――どういった所がですか?

「他のバンドだったらこれだけ個性をだしたらバンド自体が潰れることもあるはずなんだけど、我の押す所と引く所のバランスをメンバー全員がすごく分かってる。そうした所からNothing'sにしかだせないモノが生まれて、それがメンバー同士の信頼にも繋がっているというか」

「自分たちのやりたい事を見失っちゃいけないし、
 自分たちを信じて音楽を続けていくことが大切

――ニューアルバム「Mirror Ocean」は9枚目のフルアルバムですが進化や変化を感じる一作になっています。ご自身ではそうした感触はあるんですか?

「深い方の深化という意味では表題曲の『Mirror Ocean』もあれば、これまでのNothing'sらしい曲もある。『Flowers』では新しい歌い方にも挑戦しているから、ライブでどんな風になるかまだ想像できなくて。歌録りは音源で表現したい事にのめり込みすぎた所もあって、今リハでかなり苦労してます(笑)。だから音源の歌をどうやってライブに昇華していくか、その作業が必要かなと。あと『Directions We Know』も歌に関してはすごく苦労をして。この曲はひなっちと俺が各パートでメロディーをつけて、セクションごとにかなり明確なテーマがあるんです。そうした色がハッキリしていた分、歌いこなすのに時間がかかりましたね」

――凄腕のプレイヤー同士で楽曲を作っていくからこそ、そこでの刺激も大きいんでしょうね。

「メンバー同士のアイディアに口をだしたりするんで、“お前の個性は知ってるから、とりあえず言うことをきけよ”というのがお互いにあるんですよ(笑)。そこが本当にNothing'sの良いところで、信頼関係があるから言えるし、聞けるんです。人生は短いし、1つぐらい心血注いでやれるものが絶対にあった方がいいし、それに対してならどれだけ努力してもそれを努力だと思わないぐらい夢中になれる。俺たちからバンドをとったら他はなんにも残らないですから(笑)」

――Nothing'sは本当に“バンド”という言葉が似合いますよね。プレイヤー同士のガチンコ感も含めて、だからこそNothing'sにしか歩けない道を歩んできた10年なのかなと。

「10年間続けてきたっていう事が一番大事で、だから武道館でライブをやることもできる。ここに来るまでたくさんの人に支えられてきたし、10年間ずっと応援し続けてくれたリスナーとの信頼関係があってこそだと思うので。Nothing'sはミュージシャンのすごくエゴイストな部分を押し出しているバンドだから、音楽シーンの流行り廃りに関係なく、自分たちがただただかっこいいと思う音だけを鳴らしている自負があって。だからそういうバンドが武道館のステージに立てるのはラッキーだと思うし、自分たちの信念を曲げなくて良かったなと。そのエゴイストの部分がないとバンドってつまらなくて、僕らが面白いと思っているものを“Nothing's最高だ!”とリスナーに思ってもらえたら最高じゃないですか。やっぱり応援してくれる人たちは、俺たちに何か新しいことをやってほしいとか、面白いことをしてほしいと思ってCDを買ったりライブに来てくれていると思う。だから俺たちは自分たちのやる事を見失っちゃいけないし、自分たちを信じて音楽を続けていく事でしか、その期待には応えられないので。自分たちが信じているものを曲げずに続けていくことで、自分たちだけの道ができるんだなと、今実感していますね」


インタビュー・文:菊池嘉人




(4月10日更新)


Check

Release


album「Mirror Ocean」

2700円(税込)
GUDY-2021
Dynamord Label

LIVE

5月15日(火) 19:00
ダイアモンドホール
オールスタンディング-4000円
(別途ドリンク代必要)
ジェイルハウス[TEL]052(936)6041

Pコード:101-056

チケット情報はこちら