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藤原さくら インタビュー
「この『green』が自分にとって新しい始まりになれば」

6月13日(水)にEP「green」をリリースした、藤原さくら。テレビアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」劇場版第2部に主題歌として書き下ろした新曲「The Moon」、NHK総合「世界はほしいモノにあふれてる」のエンドテーマ「Dance」など全6曲を収録している。今作は気鋭のアーティスト・mabanuaによるトータルプロデュースを実現させ、生音にこだわっていた彼女がふんだんに打ち込みを取り入れた意欲的な作品。その制作過程を中心に話を聞いた。

「あまり触れてこなかったものが可愛いなって思えるようになった

――今作は“第二章を告げる作品”ということなんですが、新しいことにチャレンジしようと臨んだ制作だったんですか?

「“新しいことをしよう!”って意気込んで制作をし始めたわけではないんですが、去年『PLAY』というアルバムを作ったことで学んだことを音楽に消化した作品になりました。今までは曲を提供していただいたり、自分が一から作った曲でもたくさんの方と関わることが多くて。それとは違う方法でやろうと決めて制作し始めてはいましたけど、どちらかと言うと、ぼんやりとこの『green』が自分にとって新しい始まりになればいいなって思ってました」

——新たな方法の一つが、プロデューサーを一人だけ迎えたことだったんですね。

「ずっと前から、ワンプロデューサーでアルバム作ってみたいなって思っていて、ようやくこのタイミングでやってみようかと制作に入ることが出来ました。私が今まで経験してきた制作って、いろんなアーティストさんたちの様々な個性を集結させて一枚のアルバムにしていく作業だったんです。そんな中でアルバムを作る時は、あらかじめ完成している曲がいくつかあって、例えばマイナー調の曲が足りないから入れようとか、何が足りないか考えながらちょっとずつ付け足すイメージで進めていました。それはすごく楽しかったんですけど、いつしかマンツーマンで向かい合って一枚作れたら、また新しい発見があるだろうなと思うようになったんです」

——今回、mabanuaさんにお願いしたのはなぜですか?

「mabanuaさんとはドラマ「ラヴソング」の出演を経験してからのツアーより、ドラマーとして一緒にライブに参加していただいているんです。そこからの繋がりもあって、今回お願いをしました。1stアルバム『good morning』でも2曲参加してもらっていただけでなく、いろんな所でライブをしてきた間柄だったので、何でも言えてしまえて、変に気を使うことはなかったですね」

——マンツーマンでの制作はどのように進めていったんですか?

「今作は打ち込みをメインにしようって、最初からEPに入れる曲を決めて制作を始めました。これまでは生音にこだわっていた部分がすごくあったんですよね。何がなんでも“全部、生音がいい!”って思っていたんですけど、mabanuaさんが作ってきてくれるトラックやアレンジを聴く度に面白かったんですよね。mabanuaさんへの強い憧れがあったので、一緒に『green』を作ることが出来てすごく楽しかったですし、コンパクトにいいものが作り上げられたと思っています」

――生音へのこだわりから、打ち込みにも興味が湧くようになったんですね。

「私が今まで聴いてきた音楽の影響から、楽器が好きで演奏するなら生音でやりたいなって思ってたんです。でも今は打ち込みが面白くて。普段から聴く音楽がどんどん増えていく中で、おもちゃみたいなリズムマシンだったり、メトロノームみたいなドラムだったり、あまり触れてこなかったものが可愛いなって思えるようになったんです。そこから自分も打ち込みをやりたくなりました」

「いつかmabanuaさんみたいにプロデュースできるようになりたい

――打ち込みの曲といえば、印象的なのは「The Moon」です。

「打ち込みである上にギターも入ってなくて、ボーカルにリバーブを深く効かせているという、今までの曲とは方向性が違う曲になりました。特に歌に関してはカラッとしていることが多かったので、私の曲を聴いてくれる人がどういう風に感じてくれるのか少し不安でしたけど、受け入れていただけてるんじゃないかと思っています。しかもこの曲が一番好きって言ってくれた方もいたので、作って良かったなと思いました」

——「グルグル」では様々なサウンドが取り入れられてますよね。

「この曲はデモからだいぶ変わったんですよ。自分の曲でスクラッチが入ると想像したことがなかったので、仕上がりを聴いた時に新しい風を感じました。mabanuaさんから“ここでスクラッチ入れようと思うから、音が全然のってない空白があるけど気にしないでね”と言われてたんですよね。どんなふうになるんだろうと思っていたら、間奏で“イエーイ!”って言ってたりする音源が上がってきたので、カッコいいのが出来上がったと嬉しくなりました。あと『Time Flies』もmabanuaさんからの提案で変化が生まれましたね。“この曲はドゥンダラタッタというリズムにした方が面白いんじゃない?”って言われて、“面白そうですね!それで聴いてみたいです”って答えるように意見を交換しながら、1コーラスずつ作っては確認し合って進めていきました」

――マンツーマンだからこそ、密なコミュニケーションを交わされていたんですね。

「本当に楽しかったですね。『bye bye』なんて、mabanuaさんに“ここは弾き語りにしたほうがいい”って言われて、“嫌だー!”って私が抵抗したりもしたんですよ(笑)。最初から弾き語りになんてしなくてもいいじゃんって思ってたんですけど、結局押されて根負けしました。でも完成したものを聴いたら、抑揚がついてさらに良くなっていたんです。今回は生音のこだわりから離れて打ち込みを積極的に取り入れたこともありましたけど、mabanuaさんのことをより強く憧れるようになりました。私もいつかmabanuaさんみたいにプロデュースできるようになりたいって思うんで、まだまだ吸収したいことばかりです」

「これからのライブがもっと楽しくなりそうな予感でいっぱい

――今作は英語と日本語の歌詞がちょうど3曲ずつの収録となりました。

「最近は日本語の曲を作ることが多かったんですけど、結果的には半々になりましたね。日本語と英語のどっちにするかというのは、曲を作り始めた時点で決まってるんです。メロディを歌い出した時に、歌詞の断片を日本語で歌ったり、“ららら”ってメロディを作る時は日本語が当てはまるんです。また日本語で作る時はj-popを意識してると思いますね」

——英詞の場合はどうなるんでしょうか?

「英語のような謎の言葉を歌いだしたら、この曲は英詞にしたいんだなと思って英語で作ります。この場合、曲の構成もめちゃめちゃだったりするんですよ。aメロとbメロの繰り返しでサビがないみたいな(笑)。“日本語で歌詞にしたらどうなの?”っていうことも、英語だったら歌いやすかったりもします。日本語にしたら生々しくなるような言葉も、英語だったら自分にとってナチュラルになれるんです。例えば昔作った曲で、“あなたのためにおめかししたから可愛いって言って”というちょっと高飛車な女の子も、英語だったら直接的に表現できて。今作だと、「踊ろうよ」とずっと歌っている曲『Dance』は、初期のビートルズみたいに簡単な英語で作りたくて書きました」

――さらに今作は明るい曲調でありながら、別れの歌詞が多い印象を受けました。

「リリースするタイミングが6月だったので、3・4月での別れもあり出会いもある時期を経た上での、前向きで爽やかな初夏のイメージで作りました。実はmabanuaさんに歌詞を渡して、“これはこういう曲です”って全部の曲について説明せずにアレンジをお願いしたんです。私が思い描いているイメージを伝えることなく、音とメロディーだけで判断していただいたので、いろんな発見がありました。寂し気な歌詞でもリズムはアップテンポであるからこそ、さらに寂しさが増して気持ちいい歌に変わったり、その変化が面白かったです」

――日比谷野外大音楽堂でのライブをはじめ、9月からは名古屋公演も含めたツアーが決まっています。ライブづくしの下半期になりそうですね。

「今作はあまりストリングスを使っていない、音数をあえて少なくして“シンプルにすること”を意識したので、ライブでの演奏もだいぶ変わってくるんじゃないかなと思います。『The Moon』や『グルグル』など、絶対に生楽器だけでは再現できない曲が多いから、初めてシーケンスなどを使ったりもするんじゃないかなと考えています。今までの私のライブでは、シーケンスなどを全く使わないことが持ち味でもありました。それを使う曲がなかったのもありますけど、生楽器に加えて新しい音が増えることでこれからのライブがもっと楽しくなりそうな予感でいっぱいです。また今作のカラーを引き継いで、これまでの曲もさらにアレンジ出来たらいいなとも思っています」

インタビュー・文:笠原幸乃
 




(7月19日更新)


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Release


EP「green」

1944円(税込)
VICL-65008
ビクターエンタテインメント

LIVE

10月5日(金) 19:00
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
全席指定-4860円
※2階以上の最前列は、安全確保のため、着席での観覧をお願いしておりますのでご了承ください。3歳以上有料。2歳以下は入場不可。
サンデーフォークプロモーション[TEL]052(320)9100

Pコード:122-426
9月15日(土)より一般発売開始

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