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LUCKY TAPES インタビュー
「愛着の湧くアルバムができた」

10月3日(水)にメジャー1stアルバム「dressing」をリリースした、LUCKY TAPES。インディーズ時のラストEP「Virtual Gravity」より「Gravity」、ライブでは既に度々セットに組み込まれている人気曲「Balance」、そしてCharaが参加した「Lonely Lonely feat. Chara」やBASI(韻シスト)とのコラボレーション曲「COS feat. BASI」など全10曲収録している。高橋海(Vo, Key)が作詞作曲から編曲、サウンドメイクまでセルフプロデュースした今作は、LUCKY TAPESという表現から解き放たれた一枚になったという。今回は「dressing」の制作について、高橋に自身のソロ活動にも触れながら語ってもらった。

——今作の制作はどうでしたか?

「LUCKY TAPESはバンドであり、自分にはソロでの表現もあるから、バンドの制作に関して自分ひとりで完結させてしまうのには違和感があったんです。バンドらしさを如何にかして残したくて、スタジオにみんなで入ってセッションから曲ができるようなプロセスが理想だったんですけど、LUCKY TAPESは意外とそれができないバンドで。ある程度を決められた枠の中で発生したものに色付けていく作り方がこのバンドには合っていたから、今まではずっとそうやってきた。その中でも今回は特別、自分ひとりで完結させないといけない状況で、曲のアイディアや大枠だけでなく、個々のフレーズやサウンドメイキングなどの細かい部分までも自分の頭の中のイメージを具現化させた、言わばセルフプロデュースのような感覚で作っていきました」

——どうして今作は一人で完結した作り方になったのでしょうか?

「単純にメンバーからアイディアが飛んでこなかったというのが一番ですね。実際の状況は分からないですけど、2人(田口恵人/B ・高橋健介/G, Syn)と話した感じでは、それぞれが自分の楽器と向き合っていた時期だったみたいなんです。曲を作るということは、自分の技術や楽器への理解を深めていくように、一つの楽器や一つの音に集中してしまうと少し難しい部分があって。全体を見れる余裕や広い視野が必要だと思うんです。そんなメンバーの状態からも、今作は自分が作らざるを得ない状況でした。ただ、かなりの作業量と頭を使うので、今後は2人からもう少しアイディアが飛んできたら良いんですけどね。ソロプロジェクトではないんだし」

——LUCKY TAPESで表現したい音楽と、ソロで表現したい音楽の区別はハッキリとされていますか?

「そうですね。LUCKY TAPESはあくまでバンドだから、生演奏であることに重きを置いて作っています。それに対してソロでは生演奏で表現できないような打ち込みのサウンド、エレクトロやフューチャーベースあたりのサウンドを作っています。それぞれに異なった表現の楽しさがあるんですよね。バンドはプレイヤー達が集まって同じ一点に向かって音をリアルタイムに鳴らし合って音楽が生まれる瞬間、生演奏でしか出せない熱量があると思うんです。一方打ち込みの音楽はリアルタイムの演奏じゃ表現できない音の動かし方や、エフェクトのかけ方なんかが出来てしまう。例えば一回録ったものを逆再生したり、切って並べ替えたりするというのは絶対に生演奏じゃできない。そういう構築の美しさや楽しさがあって、LUCKY TAPESとソロは完全に別の表現として考えています」

——今作はどのようなアルバムになったと感じていますか?

「SNSでも書いたんですけど、自分の子供を産んだような感覚になったというか。子供を産んだことがないのでちゃんとした感覚は分からないですけど(笑)。今までの作品ではあまり感じなかった感覚で、自我が強いからこそ、このアルバムは自分自身でもあるように思っています。」

——セルフプロデュース的というのは、どのようなレコーディングだったのでしょうか?

「自分はプレイヤーというよりはコンポーザー気質だと思っていて、作編曲の段階で自分のイメージが色濃く出ている楽曲たちだったので、録りのプロセスもそのイメージを大事にしたかった。なので全レコーディングの過程にプロデューサーのような存在として入って、進めていきました。本人たちがOKと思っていてもOKを出さなかったり、最終的な判断という部分でのディレクションは、今まで以上にがっつりやっています。本人たちが納得いったり、大人たちが聴いて“これでいいんじゃない?”と言われても、自分が聴いてダメだったら全部捨てて録り直してもらいました。その分時間もかかったけど、細かくこだわって詰めただけあっていいものができた手応えはあります」

——田口さんと健介さんにとって、演奏に対しての考えに変化が生まれたかもしれませんね。

「そうかもしれないです。自分が高いものを求めていたので、2人にとってはキツかったと思います(笑)。でもそこに付き合ってくれるメンバーでもあるし、チームでもある。それに加えて最近、個人でのプロデュース案件も多くなって、自分が描いてる音像に近づけるためにどう指示したらいいか、どう伝えたら思い描いたプレイをしてくれるか、プレイヤーの魅力を最大限に引き出すディレクションの仕方をなんとなく掴んできている気がしていて。今作にはそんな部分も活かされているのかなと思います」

——今作はバリデーションが豊富な曲が揃った一枚になりました。

「テーマを特に設定せずに、いい感じのデモを次々と曲にしていき出来上がったものを詰め込んだ結果ですね。その時々の興味をかたちにして一つの作品にパッケージングしたので、曲調の多様性が生まれたんだと思います。これまでも興味に対して素直に作ってきているし、今回も何ら変わりはないんですけどね。ただ『dressing』ではソロでの手法を取り入れたこともあって、”LUCKY TAPESはこういう音楽だ”という無意識の縛りのようなものが自分の中で取っ払われました。ここの場でも自分の好きなことを表現していいんだなと」

——最初の方でも聞きましたが、LUCKY TAPESの音楽とソロの音楽で区別していると言っていましたよね。

「自分の中でそれぞれの括りがかなり強くて、LUCKY TAPESとソロとで今までは壁がありました。LUCKY TAPESはこういう音楽性だというイメージや先入観に、無意識のうちに沿っちゃってる部分が今思えばあったなと。ソロもバンドも自分が表現したいことだからこそ、バンドの活動が多くなりソロの活動が全くできていない状況をどうにかしたいと感じるようになったんです。ソロでやりたい表現は時間さえあれば何時でもできるはずなのに、活動出来ずに気付いたら年を取っていたということになったら勿体無いなと思い始めたりもして。バンドでも表現できることは、ソロでの手法でも何でも取り入れていくようにしました」

——これからのLUCKY TAPESがどんな音楽を鳴らしていくのか楽しみになります。

「どうなるかは分からない、というのが今の正直な気持ちです。レコーディングを終えたばかりで、自分の中のものを出し切って空っぽの状態なので、これから何かを作りたいとか何がしたいというようなことは、ちょっとまだ考えられない時期でもあるんですよね。まあ、性格上またすぐに何か物凄いものを作りたい衝動に駆られて、気付いたら次のリリースの話になっているんだと思いますが。今作で表現の可能性や幅が大きく広がったのは確かです。」

インタビュー・文/笠原幸乃




(1月16日更新)


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Release


album「dressing」

【通常版】
2916円(税込)
VICL-65043
ビクターエンタテインメント

LIVE

▼2月28日(木) 19:00
名古屋クラブクアトロ
オールスタンディング-4000円(別途ドリンク代必要)
※6歳以上有料。
ゲスト:FIVE NEW OLD
サンデーフォークプロモーション[TEL]052(320)9100

Pコード:137-443

▼LUCKY TAPES 公式サイト
http://luckytapes.com/top/

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