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Ivy to Fraudulent Game インタビュー
「やっと自分の色をそのまま声に出せるようになってきた」

2ndアルバム「完全が無い」をリリースした、Ivy to Fraudulent Game。2017年12月に1stアルバム「回転する」でメジャーデビューして以来、自身初となる Zepp DiverCityでのワンマンライブを成功に収めるなど、着実に経験を積み上げてきた。さらに今年は1月に2ndシングル「Memento Mori」をリリース、その後に全国ワンマンツアーを敢行し、7月には3rdシングル「模様」をリリース。精力的な活動を続けている中で披露された今作は、主に作詞・作曲・アレンジをも手がけバンドのブレーンを司る福島由也(Dr/Cho)の楽曲が並ぶだけでなく、寺口宣明(Vo/Gt)が作詞・作曲した楽曲も収録され、新たな挑戦も含まれた一枚となった。制作過程と共に今作で感じることのできた手応えについて、寺口に語ってもらった。

「新鮮な景色を見れそうだと思えた」

——どのように制作を進めていかれたんですか?

「コンセプトやテーマをあまり話さずに始めましたね。発売時期は決まっていたのでそこに向けて曲を作っていく中で、こういう曲ができたから次はこういった曲作りたいと積み重ねていきました。だから1stアルバム『回転する』においては自分たちの今までやってきたことと今やりたいことを一枚にするというテーマを設けて作ったのと比べると、今回は今の自分たちから出てくるもので出来上がった一枚になったと思います」

——テーマのない中での制作に不安はありませんでしたか?

「出来上がっていく曲がどれも強力な色を持っていて一曲一曲の良さがどの曲にもあったので、焦りはなかったですね。ただアルバムの制作の最後に滑り込みで入れた2曲、M3『blue blue blue』とM9『Oh, My Graph』がなかったら暗いアルバムになってたかなと今では思います。いいバランスで陰と陽の両方を入れることができました」

——この2曲はポイントとなる曲だったんですね。特にM9「Oh, My Graph」は寺口さんが作られた曲になりますが、初めて聴いた時は驚きました。

「J-POP的な要素がありますもんね。小学生ぐらいの時に聴いてきた曲に結構近い曲調になったなと、出来上がってから思いました。ポルノグラフィティとか、YUIとか、誰もが聴きやすい入りやすさがありながらギターがちゃんと鳴っている曲を好きで聴いていたんです。そのあたりのルーツが出てるのかもしれません」

——そのような曲を収録するにあたって、これまで構築してきたバンドのカラーは意識しましたか?

「それよりも、アルバムの中にこういう曲入っていると聴いててワクワクするよねという考えが僕らの中にありました。だからこそ入れられた曲だと思いますね。こういう曲を一人で作って“さあ、やるぞ”と言っても、バンドとしてアルバムに入れるかどうかはチャレンジなことなんです。それが出来たのはもしかすると、どんな曲を出しても自分たちが作ってきたバンドのカラーが崩れることはないという自信があったかもしれない」

——その自信はいつ頃から感じるようになったんですか?

「ライブの空気が最初の頃と変わってきていて、楽しいことを楽しいとそのまま素直に体現することは別に悪いことじゃないなと思ってやれていることと、3rdシングル『模様』を出せたことが、『Oh, My Graph』を出してみたいと思えるようになったんだと感じています。だから『模様』は特別な曲なんですよね。周りのリアクション以上に、いい曲が作れたと僕の中で思えたんです。シンプルなメロディで、かつ歌詞の強さもある。自分の中でどちらもよくハマったのが『模様』でした」

——「Oh, My Graph」のデモをメンバーに初めて聴かせる時に緊張はしましたか?

「やるのかやらないのか、どっちに転ぶのか、どういう反応するのかなとは思いましたね。でも僕はやると言ったらやるというタイプだし、あと客観的にバンドとしてアリかナシかが分かっちゃうので、その上でメンバーに出すから『Oh, My Graph』のような曲でも大丈夫だなって思える。さらにこの曲は一人で作ってる時点から、今までよりすごくポップで明るいけどこれはやった方がいいなと考えながら作っていましたね」

——やった方がいいなと考えたのはなぜですか?

「メロディーができた時にそう思えたんです。僕はライブを想定して作るんですけど、それが福島とはそこが違うところなんですよね。僕らのお客さんって、おとなしい人が多いんですよ。そんなお客さんを引き出せるパワーを今回作ったメロディーが持っていた。キャッチーで優しさもあるけど弾けさせてくれるメロディーだったから、新鮮な景色を見れそうだと思えたんです。新しいところに僕らも連れてってくれそうだと、これをやりたくなりました」

「自分の歌が良いと堂々と言える」

——今作は福島さんと寺口さんとで作られた楽曲により、2つの方向性があると思います。このような違いがある中で、歌への意識は方向性に合わせるようにしたんですか?

「確かに福島が作る曲と自分の作る曲に違いはあります。でもライブを意識している曲と意識してない曲の違いを考えて歌ってはいないですね。常に福島から“こういう風に歌ってほしい”というオーダーもないので、どの曲も自分なりの解釈で歌いました。ただ自分で作った曲はメロディやメッセージが自分から出てくるものだから自分に合っています。それに比べて福島が作る曲は自分だったら作らないようなメロディなので、自分のものにするのが難しいということがありますね。だけどずっとそれでやってきた部分もあるから、なんとなく福島のものが自分のものになっている。経験として上手く混ざり合ってきている感覚があります。あと最近は、レコーディングで満足いくものが録れるようになりました、やっと」

——やっと、なんですね。

「実はレコーディングが苦手だったんです。イメージ通りに歌ったつもりでも、後から聴くと綺麗に歌いすぎてたりする時が多かった。前からライブの方がいいと言われることがたくさんあって、嬉しいことでもあるけど、周りにいいと言われる良さを音源にできたらという気持ちが強かったんです。それが最近になって、やっとレコーディングでも自分の良さというのが歌にのるようになってきました。声に人間性が出るようになってきたのかもしれないですね。味と言うのは自分でもあれだけど、声に血が通ってるような」

——いざ歌うとなると、構えてしまっていたんでしょうか?

「上手く歌おうとしてたってのはあるのかもしれないですね。そう思うと歌って、不思議ですよね。今も相変わらず試行錯誤をするけど、その中にちゃんと芯が一つ通っている感覚があるので、自分の色をそのまま声に出せるようになってきた。だから自分で後から聴いて、自分の歌がいいねと堂々と言えるのは嬉しいですね。素直に自分のバンドの曲は昔からいいんですけど、曲の良さを引き出すためのものとして自分の声が存在するようになったと思えたんです」

——ずっとそう言いたかったことが実現できたんですね。

「レコーディング終わってキャンペーンとかでインタビューを受ける時に、“曲自体も音もいいんだけど、歌はもう一個何が足りないんだろうな……”と思いながら話していたことがすごい多かったんです。『完全が無い』では、曲や音からだけでなく、歌からも、僕らの世界観が聴いてくれる人に伝わるといいなと思っています」

「選択肢を狭めてしまうよりはチャレンジする方が楽しいし、
見ていてワクワクするバンドでありたい」

——改めて今作はバンドにおいてどのような一枚になったと思いますか?

「本当にいいものができたなと思えています。5年後や10年後に聴いたら、そうでもなかったなって思うかもしれない。でも今の時点では何年経ってもこのアルバムを聴き返す度に、感動できるような一枚を作れましたね。『Oh, My Graph』が好評なので、それも嬉しいですね」

——自分たちの選択が間違っていなかったと思えますよね。

「やりたいと思ったことは、何やってもいいと思うんですよ。自分達らしさを変に持ってしまって選択肢を狭めてしまうよりはチャレンジする方が楽しいし、見ていてワクワクするバンドでありたいので、やりたいと思ったことはチャレンジします。ただやるからには説得力がないと、薄っぺらいバンドになってしまう。そこに対してアプローチした時に合格点に届かなかったことが一番恥ずかしいから、感想の一つひとつが自信に繋がっています」

——今回は年またぎのツアーが控えています。

「3ヶ月というのはあまりないので、どんなツアーになるのか想像がつかないところも多いですね。短期間でガッとやるとなるとまとまった一つの視点からその勢いで出来るんですけど、今回は時間がある分、ライブに対して考える時間も増える。だから様々なアプローチが生まれるだろうし、どう見せたいかという選択肢がたくさん出来てきそうな気がしています。でもそれはやってみないと分からないですけどね」

——寺口さんの歌への表現もライブでどうなっていくのか、非常に楽しみです。

「どうなるんだろうな……。毎週のようにツアーを回っていると、ライブに慣れていくんですよね。そうするとレールができてしまって、その延長を走ってしまう。でも気にせずに、その日に思う曲の色で歌えばいいと思うんです。歌詞と全く違うようなテンションで歌ってしまう時もあるんですけど、形が一緒であればその日の色でいい。そのぐらいの自由度でその日の自分で歌えるのがライブというものだと思ってるので、そうありたいですね」

——名古屋はセミファイナルとなります。

「名古屋はいつもセミファイナルが多くて、実はセミファイナルって一番いい時なんですよね。ファイナルの前という意味で肩の力が抜けてるし、各地を回ってきた経験がある。常に名古屋のワンマンはいいライブができているので、このツアーでも楽しみにてしていただきたいです」


インタビュー・文:笠原幸乃




(11月21日更新)


Check

Release


album「完全が無い」

【通常盤】
3000円(税別)
VICL-65228
ビクターエンタテインメント

LIVE

2020年1月26日(日) 18:00
名古屋クラブクアトロ
オールスタンディング-3800円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※小学生以上有料。未就学児童は入場不可。
サンデーフォークプロモーション[TEL]052(320)9100

Pコード:163-190

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