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TREASURE05X 2021 ~OFFICIAL LIVE REPORT DAY3〜
9月5日(日) 日本ガイシホール

東海エリアの夏の音楽イベント、TREASURE05Xが9月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3日間にわたり日本ガイシホールで開催された。昨年は新型コロナ感染拡大の影響で中止、今年は2年ぶりの開催となる。最終日の模様をレポート。

コロナ禍でのTREASURE05X、全アクト完遂

 

2年ぶりの開催となったTREASURE05Xもいよいよ最終日。会場のある笠寺駅に下り立つとスタッフたちが改札付近に立っていた。まだ開演時間には早く来場者は少なかったが、混雑して密な状況にならないよう、誘導するための人員配置なのだろう。感染対策を徹底するというのは口で言うほど簡単なことではないはずだが、日々アップデートされる感染対策に、主催側のイベントに対する誠実な姿勢が垣間見える。

 

ガイシホールに到着すると、前説としてZIP-FMナビゲーターの清里千聖がステージに立っていた。悩みながら参加を決めたであろうお客さんを気遣い、感謝の言葉を伝える。そして「皆さん一緒にルールを守って楽しんでもらいたいです。力を貸してください」と続けた。清里の呼びかけに応じる拍手で、この日もライブがスタートした。コロナ禍のイベントが無事に成立するためには参加者の協力が必要不可欠であり、TREASURE05Xのオーディエンスは初日からずっとそれを体現していたように感じる。

 

 

[Opening Act] w.o.d.
 

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オープニングアクトに立ったのは神戸発3ピースバンド、w.o.d.(ダブリューオーディー)。バンド名は“webbing off duckling”の略で、“泳げないアヒル”という意味が込められているという。サイトウタクヤ(Vo.Gt.)がギターをかき鳴らし「モーニング・グローリー」をスタートさせると、“ビンテージ”“古き良き”と形容したくなるようなロックンロールを繰り広げた。楽器の音も歌声も、カラッとしたドライな質感が気持ちいい。サイトウのシャウトとリズム隊の重低音に痺れる「Fullface」、シニカルなムードの「踊る阿呆に見る阿呆」、疾走感あふれる「1994」など全7曲を披露すると、サイトウが「ありがとう、バイバイ」とだけ残してメンバーはステージを後にする。ほとんどMCを挟まずに畳み掛けるスタンスも粋だった。

 

1.モーニング ・ グローリー
2.Mayday
3.Fullface
4.lala
5.楽園
6.踊る阿呆に見る阿呆
7.1994

PHOTO:郡元菜摘

 

 

 

ROTTENGRAFFTY
 

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続いて登場したのはROTTENGRAFFTY。TREASURE05Xとは切っても切れない関係で、おそらく演者にとってもお客さんにとっても、安心して胸を借りられる存在だ。ステージにメンバーが入場すると、N∀OKI(Vo.Gt.)が「トレジャーーーー!!」と絶叫。夜明けのような照明の中で、ライブの定番曲「金色グラフティー」で幕開けすると、声に出せない“オイ!オイ!”コールに代わり、オーディエンスは力強く拳を突き上げる。鮮烈なサウンドでアリーナを大きく揺らした「D.A.N.C.E.」は場内が虹色に照らされてお祭り騒ぎ。メンバーが客席に向かって「やるぞ!やるぞ!その場で座る〜…ジャンプ!」と合図を送り、その場でしゃがんでから飛び跳ねるお約束の流れもバッチリだ。MCでは「開催してくれたサンデーフォーク、来てくれたみんな、ありがとう」とN∀OKI。「とりあえず今はあきらめず怠らず、一人ひとりが積み重ねた先に未来があると信じてる。この場所が失われることは考えられへんやろ」と熱く語る言葉に、お客さんも真剣に耳を傾けていた。最後は2分に満たない高速ナンバー「Error…」をお見舞いすると、NOBUYAI(Vo.)が「ありがとうトレジャー!お前ら全員かっこよかったぞ!」とオーディエンスに賞賛を送り、ステージを終えた。

 

1.金色グラフティー
2.相殺微量サイレンス
3.D.A.N.C.E.
4.「70cm四方の窓辺」
5.Goodbye to Romance
6.ハレルヤ
7.Error...

PHOTO:古川喜隆

 

 

 

ハルカミライ
 

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この日、特別な存在感を放っていたのがハルカミライ。東京は八王子からやってきた4人は、リハーサルの段階から人懐っこさ全開で場内を温め、舞台袖には戻らずそのまま本編をスタートさせた。真っ赤な髪の橋本学(Vo.)を筆頭に、瑞々しくてまっすぐで、どこかTHE BLUE HEARTSを思わせるスタイルからすぐに目が離せなくなる。メンバーはステージを縦横無尽に走りまわり、アンプの上に乗ってギターをかき鳴らしたり、着ていたTシャツを脱ぎ捨てたり、そのまま寝転んだり…まるでライブハウスで繰り広げられるような光景だ。「初めまして、トレジャー!」と話し出した橋本。ギター、ドラム、ベースと順番にメンバー紹介をしたと思ったら「ボーカルの俺には一番デカい拍手をしてくれ!」と笑いを誘う。客席との距離感も近く、「そこにいる金髪の兄ちゃん、俺たちのTシャツかっこよく着てくれて、どうもセンキュー。色んなバンドのTシャツ着てる奴、みんなかっこいいよ」と飾らない語り口でも心を掴む。「暴れまくるからって勘違いしないで欲しいけど、ルールは守るし、俺は音楽と、お前と歩いていきたいと思ってる」という言葉がわざとらしく聞こえないのは、全身全霊のパフォーマンスに説得力があるからだ。ある日突然現れて心をさらうロックンローラーたちは、きっとこんな姿形をしているのだろう。

 

1.君にしか
2.カントリーロード
3.ファイト!!
4.俺達が呼んでいる
5.春のテーマ
6.世界を終わらせて
7.僕らは街を光らせた
8.PEAK'D YELLOW

PHOTO:郡元菜摘

 

 

 

BIGMAMA
 

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最終日も折り返し地点を迎えようとする頃、ステージにはバイオリンを擁するロックバンドのBIGMAMAが現れた。このバンドもまた、TREASURE05Xにとって馴染み深い存在だ。「I Don't Need a Time Machine」が金井政人(Vo.Gt.)のアカペラから始まると、東出真緒(Vn./Key./Cho.)が定位置を飛び出して、のびのびとしたパフォーマンスで引き込む。青い照明が幻想的な雰囲気を強めた「MUTOPIA」も、ベートーべン交響曲第9番「歓喜の歌」を引用した「No.9」も、またここで再会できたことをお祝いするかのように、美しいバイオリンと打ち込みの音色が融け合ってガイシホールを満たした。いつものTREASURE05Xとは場所も状況も違うけれど、ファンタジックなサウンドスケープでオーディエンスを沸かせるのはお手の物だ。ラストナンバー「PRAYLIST」を演奏する前に、「我々ロックバンドは、トレジャーは、ずっとあなたの味方です」と静かに言った金井。演奏が鳴り止まないうちに、紳士的な一礼を残してステージを去った。

 

1.I Don't Need a Time Machine
2.MUTOPIA
3.BLINKSTONEの真実を
4.No.9
5.Sweet Dreams
6..The Naked King 〜美しき我が人生を〜
7.PRAYLIST

PHOTO:古川喜隆

 

 

 

BLUE ENCOUNT
 

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今日のライブも終盤に差し掛かると、「準備できてますか、始めるよー!」と田邊駿一(Vo.Gt.)が叫んでBLUE ENCOUNTの4人が飛び出してきた。「バッドパラドックス」でスタートすると、「トレジャー、アーユーレディ!?」と田邊が煽り、緩急つけたプレイでアリーナを揺らす。メジャーデビューは2014年、着実にキャリアを重ねてきた彼らは安定したアンサンブルで貫禄を漂わせる。MCではTREASURE05Xとの歴史を振り返り、「2019年は大トリをやらせてもらって、2020年は空白になってしまって…。嬉しいですね、このステージに帰ってこれて。トレジャー、ただいま!」と田邊が言うと、返事の代わりに温かい拍手が場内を包んだ。「色々心配だよね、不安だよね。俺らも結構、不安です」と正直な気持ちを吐露する田邊。「だから今日、あなたに向かって何と伝えればいいか答えが見つからなくて、余計怖くなってーーでも答えはシンプルで、必要なのは音楽だと思います」とまっすぐ前を見据えると、最新曲「囮囚(ばけもの)」や「DAY×DAY」を演奏して盛り上がりは加速。田邊が客席に向かって投げた「誰一人欠けないでよ!」という切実な呼びかけに、また前みたいにもみくちゃになれる日を待ち遠しく思った。

 

1.バッドパラドックス
2.KICKASS
3.囮囚
4.#YOLO
5.VS
6.DAY×DAY
7.灯せ

PHOTO:郡元菜摘

 

 

 

MAN WITH A MISSION
 

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残すところあと2組となり、ステージに登場したのはMAN WITH A MISSION。バンドのタオルを掲げる人がとても多く、人気の高さがうかがえる。「All you Need」で口火を切ると、スクリーンに映る炎が場内の熱気を後押しし、人気曲「Emotions」では壮大なスケール感でガイシホールに一体感を生み出した。その存在感で場を圧倒する狼たちだったが、Tokyo Tanaka(Vo.)が手拍子を促したり、ステージの端まで来て“ガウガウ”の振りをお客さんに指導する姿は何とも茶目っ気たっぷりで愛らしい。MCではJean-Ken Johnny(Gt.Vo.Raps.)が「オ元気デスカ皆サン。非常ニ難シイ状況ガ続イテオリマスケド、主催者ダケジャナクテ、俺タチト参加者ノ皆サンデ、デキルンダゾッテ証明シテヤリマショウ。ソシテ今日、来ナイ選択ヲシタ人タチニ、大丈夫ダヨッテ言ッテヤリマショウ」と語っており、ここにいない仲間たち向けた優しさにこちらまで慰められる想いだった。カラフルなレーザービームが交差した「FLY AGAIN-Hero's Anthem-」で締めくくると、ひとり舞台に残ったTokyo Tanaka。口元に指を当てた“シー”のポーズをした後、客席を讃えるように拍手を送った。

 

1.All you Need
2.Raise your flag
3.Emotions
4.INTO THE DEEP
5.Get Off of My Way
6.Marry-go-round
7.FLY AGAIN-Hero's Anthem-

PHOTO:古川喜隆

 

 

 

04 Limited Sazabys
 

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ついに迎えた3日間の大トリは、名古屋出身であるフォーリミが登場。「イェーー!トレジャー、いける?」とハイトーンボイスで煽るGEN(Ba.Vo.)。叙情性と疾走感が同居するフォーリミらしいナンバー「Squall」を皮切りに、「My Hero」、「midnight crusing」と次々たたみかける。ホームなだけあってメンバーも肩の力を抜いてプレイしており、オーディエンスとのあうんの呼吸には感服するばかりだ。「名古屋に帰って来ました、04 Limited Sazabysです。ただいまー!」と挨拶するGEN。「ガイシホールって聖地みたいなもので、人生で初めてライブを観た場所だし、ハイスタとの2マンライブやったのもそうだし。今日は輝く条件が揃ってるので、とくとご覧ください!」と地元ファンには嬉しいコメント。自分たちにできることを模索しながら歩んで来た彼らは、実際にガイシホールの大舞台が似合うバンドになっていた。「大雨とか疫病とか、平安時代なら大仏建てるか都移すしかないよね?トレジャーが大仏みたいなものだと思ってるので、みんなで守っていきましょう。とにかくこのフェスがなくなってほしくないんだよ。シーンを、カルチャーを守っていきましょう」と、TREASURE05Xに懸ける想いも語った。9月にリリースしたばかりの新曲「fade」や「Just」を惜しげなく披露した後は、「名古屋!この曲知ってる奴何人いるんだよ!」とGENが叫んで「monolith」をドロップ!会場によって歌詞を変えるのが定番な“きっと間違えられないな”に続くフレーズは、“トレジャー大トリ、しかもガイシホール!”。名古屋代表としての自負を胸に、この状況下で大役を務め上げた4人に、こちらまで誇らしくなる見事なトリだった。

 

1.Squall
2.My Hero
3.midnight cruising
4.Jumper
5.fade
6.fiction
7.knife
8.Grasshopper
9.Just
10.monolith

PHOTO:郡元菜摘

 

 

TREASURE05Xは例年であれば、8月は毎週のようにライブハウス公演があり、9月の蒲郡ラグーナビーチでフィナーレを飾るのが常だった。そこで注目されるのはバンドが成長するストーリーだったが、今年は「コロナ禍での安全な音楽イベント開催」という、いつもとは異なる文脈を背負わざるを得なかった。大きな変化はやはり参加者への制限で、不織布のマスクを着用し、大きな声は出せず、隣の人と抱き合ったりぶつかりあうこともできない。だけど今年のライブを観ていると、アーティストもオーディエンスも、そのような制限があってもむしろ、音楽の価値は一切変わらないことを証明しているように感じた。

ロックが何かを定義することは難しいが、自分の大切なものを守るために、ルールを守って、可能な範囲で音楽を楽しむことーーそれがこの状況下に置けるひとつの答えであると、TREASURE05Xは提示したと思う。

 

TEXT:青木美穂

 

 

 

<2021年のTREASURE05X全日程を終えて>

 

多くの音楽イベントが開催中止の決断を下した2021年の夏。TREASURE05Xは、緊急事態宣言下での開催となったこと、そして、一週間前に開催された野外フェスで感染拡大防止のガイドラインが守られない様が大きく報道されたことにより、「音楽を楽しむ」こと以外に着目せざるを得ない状況で開催された。それは運営スタッフも同様だったように想像する。レポートにもあるように、ルール化されアナウンスされた感染症対策の数々は、異例の厳格さで実施された。来場者に陽性者が出たときの対処と発表方法も、納得感のあるものだったように思う。

とはいえ、人流抑制が必要とされている状況下で「ルールが守られたので開催は正解だった」と、安易に発言することができないのも事実である。コロナ禍での音楽やライブ、フェスのあり方について、我々はまだ正解を見つけられずにいる。ただひとつ確かなことは、この日は主催者が自治体や会場と連携をとり、感染拡大防止のためのガイドラインを作り、そしてお客がそれを守ることができた。そういう音楽イベントを開催することができた、ということだ。それは運営サイドとお客の間での信頼感がなければ、成立しなかったことでもある。

これまで大小いくつもトラブルがありながらも、TREASURE05Xは地元の音楽ファンとの関係性を大事にし、ともに歩んできた。奇しくも日本ガイシホールはTREASURE05Xのはじまりとなった場所だ。そうした場所で、深めてきた絆がイベント開催の大きな力となったことに、運命的ななにかを感じた3日間だった。

 

TEXT:阿部慎一郎

 

 

 

 

STAFF
photographer:古川喜隆/郡元菜摘/タカギユウスケ
writer:青木美穂/あがたゆり

director:阿部慎一郎(ぴあ)

Special Thanks: all perfomer and TREASURE05X staff




(9月15日更新)


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TREASURE05X 2021

9/3(金)9/4(土)9/5(日)
日本ガイシホール

【DAY1】
打首獄門同好会
THE ORAL CIGARETTES
Crossfaith
Saucy Dog
SiM
フレデリック
[Opening Act]the shes gone

【DAY2】
[Alexandros]
クリープハイプ
coldrain
SHISHAMO
SIX LOUNGE
SUPER BEAVER
[Opening Act]サウナガール ※トレチャン2021優勝バンド

【DAY3】
ハルカミライ
BIGMAMA
04 Limited Sazabys
BLUE ENCOUNT
MAN WITH A MISSION
ROTTENGRAFFTY
[Opening Act]
w.o.d.

●DAY1 LIVE REPORT●
http://chubu.pia.co.jp/interview/music/2021-09/treasure05x-2021-official-live-report-day1.html

●DAY2 LIVE REPORT●
http://chubu.pia.co.jp/interview/music/2021-09/treasure05x-2021-official-live-report-day2.html