ホーム > インタビュー&レポート > SF・ミステリー“笑”大作! 劇団ジャブジャブサーキット インタビュー 「30年続けてもお客さんを笑わせたり楽しませるのが1番のベース」

SF・ミステリー“笑”大作!
劇団ジャブジャブサーキット インタビュー
「30年続けてもお客さんを笑わせたり楽しませるのが1番のベース」 (3/3)


「お客さんとは想像力でキャッチボールがしたい」

――ジャブジャブの作品には、あまりモノローグのシーンは登場しませんよね?
「そうですね、モノローグは実際1回もないと思います。お客さんに向かって『今日わたしは…』と感情を喋ることはないですね。静かな演劇の時代に、登場人物の関係性を大事にしながら会話劇で伝えるという手法が自信にもなっているんです」

――なぜモノローグの手法を使わないのでしょうか?
「だって普通に生きててモノローグの場面ってないじゃないですか(笑)」

――確かに。一人で壁に話しかけてたらだいぶヤバイですね(笑)。
「でしょ?(笑) ましてや、お客さんに説明するために喋るというのは楽すぎるだろうと。時どき文学作品の演劇化で『時はなんとか』ってセリフがあるんだけど、それを言われたら芝居を見てる必要がないというか」

――なるほど。では演劇表現は何かとつき詰めていく中でダイアローグの手法が当然の選択となっていったんですね。
「戯曲について教える機会があってもダイアローグでしか教えてないですし、ダイアローグの中で伝えるべきだと僕は思っているんですよね。たまにパンフレットに全部のあらすじが書いてある芝居があると、“それ面白くなくねえ?”みたいなね(笑)。お客さんに必要以上に説明したくないというのは、さっきも言ったようにお客さんとは想像力でキャッチボールがしたいからからです」

「“こいつがいたから書けたんだな”って。それが劇団だと思うんです」

――前回の「ディラックの花嫁」を観させていただい時に、まどかリンダさんの存在感がすごく残っています。まどかリンダさんは、最近入られた方なんですよね?
「ディラックで初舞台でしたね。まどかは去年の出演者募集で応募してきて、今は劇団員になって今回もでています。彼女はもう1つの顔があってロックバンドのボーカリストなんですよ」

――だからあれだけ舞台慣れしているんですね。前作では初舞台にして主役級の役どころでしたが、まどかリンダさんのファーストインプレッションが良かったということですか?
「新しいモノ好きなところがあって。今回の作品でいうとフリーの谷川美穂さんが初めてうちの舞台に立つんですけど、かなり出てますね。逆にまどかはトボけた役になってたり。役者としての巧みさとかキャリアとか、もっと言っちゃうと存在感でもないんですよ。もってる空気が面白ければ、どんどん脚本を書かせてもらえるという感じがあって」

――はせさんの表現を具現化していくのは役者の人たちだからこそ、これだけ長く演劇活動をしている中で新しい表現者が増えることは重要なことだと思います。
「一時期は“またお前で書くのかよ”と固定化したときもありましたけど、いちよう劇団の作家なので、次の作品に出たい人には全員書くことにしているんですね。“今回はあなたお休みね”というのは一切したことがなくて、それを10年以上ポリシーにしています。人数が多いと困るなあ(笑)と思いつつ、全員書きますね」

――なぜ一見難しそうにみえる縛りをポリシーにしているんですか?
「気取っているわけではないけど、それが劇団じゃないかなと思うんです。僕はいちよう本を書く人間だから権力があるようにみえるけど、過去の作品から考えると“こいつがいたから書けたんだな”っていうことばかりなんです。だから劇団員に書かせてもらっているというのは非常に対等でもある。もちろん僕は作家的な気持ちもあるので“たまには5人ぐらいの濃密なものをじっくりやりたい”と思うときもあるんですけど。幸い、よそから頼まれたときにやればいいことだし、劇団に書き下ろす作品は座付き作家と言っている以上、集まっている人に書いていくのは1つの姿勢かなと思うんです」

――お話を聞いていて、はせさんはお客さんに対しても役者さんに対してもすごく丁寧で親切だなと思いました。
「どうなのかなあ。外見はそうかもしれませんけどね(笑)」

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「さよならウィキペディア」イメージ写真2

「近づけば近づくほど懐が深いですわ」

――作品テーマの話に戻りますが、この題材は集団の暴力性という側面からうまれたものであると少なからず思っていて。現代ですとFacebookやTwitterなどを使っている中で、マジョリティーに正義が偏る場面にたびたび遭遇します。それがいき過ぎると集団の暴力になってしまう。はせさんが生活の中でそうした場面にでくわした瞬間はあったんですか?
「個人でいえば、そんなに驚愕な目にあったわけではないんですけど。例えば僕の友人がね、それこそドンピシャすぎるけどWikipediaに名前が載っていたけど本人は全く知らなくて。人によっては宣伝になって仕事ができたという人もいれば、頼むから載せないでくれと思う人もいますよね。それが本人の了承もなく載っている。消すことや訂正もできるんだけど、申し出がないものはずっと残っていくんですよね。それこそ死んでも。本人のことが書かれているのに、気づかなければ権利がないんだなと。という僕たちだって携帯が出た当初はこんなのに縛られて嫌だとか言ってたのに、誰かが充電切れとかしてると“だから仕事がないんだよ”とか言ったり(笑)。ちょっと前まで思ってもいなかったことが、こうしたツールがあることによってどんどん変わってきていて、それは便利だから以外に考えられないんですよね。といはいえ、一歩戻ることはもうできないんだけど」

――王者舘の天野天街さんがあるアフタートークで演劇という行為について「時間を物質化すること」とおっしゃっていました。はせさんにとって演劇とはなんですか?
「近づけば近づくほど懐が深いですわ。逆にいうと他の文化がたくさんあるから、演劇を観なくても生きれるようにどんどんなってて。あとどれだけ生きるか分かんないけど、僕も見逃してきた映画や読み残した本だけで楽しめると思うし。ただ演劇って観る人が少なくなっているのはあるとしても、やりたい人が増えていってる。ってことは演劇ってなくならないんじゃないかなと思って。一時期は絶滅するという危機感のもとで演劇を作っていたんだけど、意外にそうではないと。録画もできないし、毎度セリフを覚えてさあ、人と人が会って稽古しないと本番が迎えられないなんてめんどくさいよね。でも、そんな手間暇かかるアナログなことをやりたいと思わせる何かがあって、それは演劇行為がもつ豊かさなんしょうね。だから思ったよりも懐が深いからこそ、これだけ長くやっていても毎回毎回楽しめるんじないかな」




(6月23日更新)


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